1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671809
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
中嶋 正人 朝日大学, 歯学部, 講師 (50113048)
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Keywords | 咬合痛 / 歯根膜 / 開口反射 / 顎二腹筋筋電図 / ラット / 歯の穿孔 |
Research Abstract |
穿孔と咬合痛との関係を明らかにするため、ラット開口反射を指標として、実験を行った。実験にはウィスター系のラット20匹を用いた。実験開始2日前に、予めネンブタールをラット腹腔内に投与し、上顎右側中切歯を切断した後、♯1/2のラウンドバーで根中央部唇側壁の一部を穿孔させておいた。また、左側中切歯は処置をせず、コントロールとした。実験当日、再度ネンブタールをラット腹腔内に投与(0.9ml/kg)し、気道確保の後、直径0.5mmのエナメル線を左右の顎二腹筋前腹に埋め込み(極間距離約2mm)、これを記録電極とした。次いで、上顎左右の中切歯に舌唇あるいは唇舌方向から機械的刺激を加え、それにより誘発される顎二腹筋筋電図(開口反射)をブラウン管オッシロスコープを介し観察すると共に記録した。 その結果、上顎右側中切歯(穿孔群)と左側中切歯(コントロール群)に舌唇あるいは唇舌方向から機械的刺激を加えると顎二腹筋筋電図が誘発され、それを誘発するのに要する閾値は、いずれも右側中切歯(穿孔群)の方が低かった。また、右側中切歯(穿孔群)に関して、舌唇あるいは唇舌方向から機械的刺激を加え多場合、唇舌方向に機械的刺激を加えたグループの方が舌唇方向刺激グループよりも閾値が低かった。 以上のことから、根管側壁部に穿孔が認められる歯牙は健全歯牙に比べて機械的刺激に対する歯根膜感覚の閾値が低下していることが明らかとなり、臨床における咬合痛の発症に、根管内の部分的な穿孔が関与していること、さらには穿孔部歯根膜部に方向特異性のある可能性が示唆された。
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