2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671809
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
中嶋 正人 朝日大学, 歯学部, 講師 (50113048)
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Keywords | 咬合痛 / 歯根膜 / 歯根膜感覚 / 開口反射 / 顎二腹筋筋電図 / 歯の穿孔 / 歯根膜の方向特異性 |
Research Abstract |
平成12年度では平成11年度と同様に、ラット穿孔部歯根膜の方向特異性について検討すると共に、平成10年度に得られた臨床データとを比較検討し、穿孔に基づく咬合痛を診断するための一つの指標を確立することにある。 実験にはウィスター系ラットの上顎前歯を用い、左側中切歯(穿孔郡)と右側中切歯(コントロール)に機械的刺激を加え、穿孔の影響について検討した。その結果、事前に上顎前歯唇側壁根管(歯槽頂直下)を穿孔しておいた群で、唇舌方向に機械的刺激を加えたグループの方が舌唇方向刺激グループよりも顎二腹筋筋電図を誘発させるのに要する機械的刺激の閾値は低かった。また、臨床で咬合痛を訴える患者で穿孔が疑われる単根歯を対象に歯根膜感覚の方向性を検討したところ、穿孔部あるいは破折部の歯根膜が伸展される方向に機械的刺激を加えると患者は痛みに似た違和感を訴えた(11人中7人、64%)。 以上のことより、穿孔が認められる歯では明らかに歯根膜感覚閾値は低下しており、通常の咬合力ばかりではなく、ある特定の方向から歯根膜に荷重が加わっても痛み感覚を誘発する可能性のあることが示唆された。さらには動物実験の結果からも明かのように、咬合痛を有する歯の歯根膜感覚は穿孔部附近の歯根膜が伸展されると通常と異なる感覚を生じていることから、日常の臨床で咬合痛の診断には、歯根膜の方向特異性を検討する必要性のあることが明かとなった。
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