Research Abstract |
顎関節症の発症に咬合異常が関与すると考えられているが,いかなる咬合異常が顎関節症の発症にどのように関与しているかは,未だ明らかではない.そこで本研究は,咬合接触の異常に着目し,顎関節症と咬合接触状態および咬合力分布の関連を明らかにすることを目的とした.本年度は健常者を対象に,咬合接触状態(咬合接触点数,咬合接触面積)と咬合力分布の検索を行った.咬合接触状態は,ICPとPCPの二つの咬合位にて,12名を対象に検索した.また,咬合力の歯列上分布は,56名を対象に検索した.得られた結果は以下のとおりである. 1.ICPにおける咬合接触点数は,37.2±7.2であった.歯種別では:第一大臼歯(11.4±3.2)が最も多く,次いで第二大臼歯(10.1±3.6),最も少ないのが側切歯(1.4±1.2)であった.また,咬合接触点数の左右差(|R-L|/R+L)は,0.13±0.09であった.2.PCPにおける咬合接触点数は,21.5±7.7であった.歯種別では,第一大臼歯(6.4±3.6)が最も多く,次いで第二大臼歯(6.2±1.8),最も少ないのが側切歯(1.2±1.3)と犬歯(1.2±1.0)であった.また,咬合接触点数の左右差は,0.10±0.08であった.3.ICPにおける総咬合接触面積に対する各歯の咬合接触面積比は,第二大臼歯(0.38±0.09)が最も大きく,次いで第一大臼歯(0.34±0.09),最も小さいのが中切歯(0.03±0.03)であった.また,咬合接触面積の左右差は,0.14±0.08であった.4.PCPにおける総咬合接触面積に対する各歯の咬合接触面積比は,第二大臼歯(0.39±0.11)が最も大きく,次いで第一大臼歯(0.32±0.11),最も小さいのが側切歯(0.03±0.03)であった.また,咬合接触面積の左右差は,0.15±0.10であった.5.総咬合力に対する各歯の咬合力比は,第二大臼歯(0.49±0.10)が最も大きく,次いで第一大臼歯(0.31±0.07),最も小さいのが側切歯(0.02±0.02)であった.また,咬合力分布の左右差は,0.09±0.06であった.
|