1998 Fiscal Year Annual Research Report
重合収縮を考慮した義歯床用アクリリックレジンと金属の接着法に関する研究
Project/Area Number |
10671819
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
若林 則幸 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (00270918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 絋 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (00014324)
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Keywords | 歯科用金属 / 接着性レジン / 義歯床 / チタン合金 |
Research Abstract |
平成10年度における研究目標は、義歯床用金属と加熱重合レジンを用いて両者による接着試験片を製作し、同接合部における剥離強度に強い影響を及ぼす材料学的因子が何であるかを明らかにすることであった。そして特に、接着性モノマー使用の有無、床用レジンの重合方法および接合部の形態の違いによって生じる残留応力の様相の変化について以下のような基礎的な検討を行い、いくつかの注目すべき知見を得た。 1.温熱加熱法および持続加圧法の両重合方法について、レジン単体の棒状試験片を用いて重合収縮量を測定した。測定には歪みセンサーを用い、重合時間および最高温度を変化させたときの収縮量を得た。加熱重合レジンは持続加圧法を用いたときに有意に小さな収縮量を示した。 2.接合部の断面形態の異なる接着試験片を上記の重合法により製作し、重合後の接合部の状態を顕微鏡により精査した。またこれらの試験片内部に生じたと予測される残留応力を有限要素法により計算した。計算には各材料の弾性率および1.で求めたレジンの熱収縮量のデータを用いた。その結果、特に接着性モノマーを用いなかった場合、上側(人工歯側)の接着界面において剥離が観察されることが多く、これは有限要素法によって示された最大引っ張り応力の分布する部位とほぼ一致していた。また、接合部の形態の変化も残留応力の分布に有意な影響を及ぼすことが示された。 上の知見は、接着性モノマーの義歯床への応用の有効性を示唆するものである。これらの結果を踏まえて、今後、平成11年度以降においては当初予定していたとおり、臨床において観察されると予想される床用レジンの剥離、亀裂などの損傷について調査を行い、床義歯の金属レジン接合部におけるより効果的な設計方法について明らかにする予定である。
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