1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671821
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
門磨 義則 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (00092403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 光郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (10143596)
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Keywords | ビスフェノールA / 歯科材料 / 分析 |
Research Abstract |
ビスフェノールAがラジカルと相互作用する可能性を有するフェノールの誘導体であることから,ビスフェノールAと重合の開始ラジカルや生長ラジカルとの反応性について検討した.2,2'-アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤とした場合には,ビスフェノールAの添加量が多くなるにつれて,誘導期間が長くなり,ヒドロキノンと類似した挙動を示し,典型的な重合禁止剤であることが判明した.また,過酸化ベンゾイル(BPO)を重合開始剤とした重合系では,ビスフェノールAはヒドロキノンより長い誘導期間を与え,BPO系では重合禁止剤としてヒドロキノンよりも高い効果を示した.歯科用レジンでは重合開始剤としてBPOを用いることが多く,レジン中に不純物として含有されるビスフェノールAは開始ラジカルと反応して消費され,硬化が始まる時点では反応系内には存在しないと推定された. 歯科用レジンに含まれるビスフェノールAが硬化開始時に消失するとすれば,硬化後に未重合モノマーが分解してビスフェノールAを産生するか否かが問題となってくる.そこで,ビスフェノールA関連モノマーの化学的な分解に対する安定性を検討した.弱酸,強酸,強塩基の存在下にビスフェノールAジメタクリレート(Bis-DMA)やBis-GMAの分解反応を経時的に詳細に検討した.とくに,Bis-GMAからビスフェノールA産生の分解反応における重要な中間体であると推定される,2,2-ビス[4-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン(BHP)を別途合成して,Bis-GMAの分解反応におけるBHPの存在量を正確に定量した.その結果,Bis-DMAでは酸性や塩基性の雰囲気下でかなり容易に分解してビスフェノールAを生成するが,Bis-GMAでは分解の中間体であるBHPまでは分解が進行するが,BHPからビスフェノールAの生成は全く認められなかった.これらのことから,歯科用レジン成分として用いられているビスフェノールA関連モノマーの中でもBis-GMAは,中間体のBHPが極めて安定であるために,分解してビスフェノールAを産生する可能性は極めて低いと結論された.
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Research Products
(1 results)