1998 Fiscal Year Annual Research Report
T,C,M,H波を指標とする顎機能異常者の神経・筋機能評価
Project/Area Number |
10671835
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
橋本 信行 長崎大学, 歯学部, 助手 (50198686)
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Keywords | T波 / C波 / M波 / H波 / 咬節 / 顎機能異常者 |
Research Abstract |
本年度は、健常者におけるC波の解析と、患者と健常者との各波形の差異について分析を行なった。従来からC波は、刺激側の対側で記録されてきた。しかし、今回、咬頭嵌合位での随意収縮下(第40回歯科基礎医学会学術大会)または最大開口下(第100回日本補綴歯科学会記念大会)で同波が同側性にも記録され得る事を明らかにした。これは、ヒトにおいても皮質運動野から咬筋運動ニューロンへの同側性投射が存在する証拠となり得る。また、この投射量(面積値)は対側C波が同側C波よりも常に大きく、皮質性運動制御は咬筋でも対側優位と結論された。さらに、対側C波は最大開口下でも促通される(国際シンポジウム「咀嚼の神経生物学」)ので、中枢性及び末梢性質に拮抗筋を収縮させやすくする防御機構の存在が想定された。 一方、両側性顎関節症患者と一側性脳梗塞患者でも少数例ではあるが知見を得た。前者では、最大開口下で筋の背景活動が上昇しやすく、これに伴なって、C波も増大傾向を示した。これは、本患者群では最大開口自体が非生理的状態で、これを阻害するために拮抗筋である咬筋の静的及び動的活動が上昇した事を示唆する。後者では、T・C・M・H波のいずれにおいても健常者との差異は未だに検出されていない。被験者の麻痺の程度は非常に軽微である事から、すでに代償機能が働いた、病巣が口腔機能には影響のない部位に限局していた、などの可能性を考えた。今後、患者群の例数を増加させ、症状の重い患者も検索の対象として本研究の目的を達成してゆく計画である。
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