2000 Fiscal Year Annual Research Report
T,C,M,H波を指標とする顎機能異常者の神経・筋機能評価
Project/Area Number |
10671835
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
橋本 信行 長崎大学, 歯学部, 助手 (50198686)
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Keywords | 機械刺激 / 磁気刺激 / 電気刺激 / 咬筋 / 顎機能異常 |
Research Abstract |
本年度は、片側性顎関節症患者と片側性脳梗塞患者との解析を行なった。 片側性顎関節症患者は、開口制限を主訴に来院した患者で、バイトプレーン療法を施して、主訴が改善されたが、まだ患側顎関節部に違和感を有している状態で実験した。大脳皮質運動野顔面領域の磁気刺激で誘発されるC波は、いずれの被験者の咬筋からも誘発されたが、患側の対側性C波の潜時が遅い場合、最大開口条件下での両側C波の増強が著しい場合、逆に、最大開口下では誘発せず咬合下でのみ誘発される場合など患者によって様々な様態を示した。これらは、中枢などからの短潜時の抑制の存在、筋の最大伸張時の豊富なIa入力の流入、逆に、Ia入力が低下しているなどの可能性を示唆している。一方、機械刺激によるT波は、いずれの患者でも振幅・面積値とも小さく、安静時の閉口反射の機能低下を疑わせた。電気刺激によるM波H波の観察では、安静時でもH波が記録できる特異的パターンを示す患者が存在し、求心性線維は正常かむしろ閾値の低下を伺わせた。従って、T波とM波H波との結果から、本患者では筋紡錘自体の感度低下を予想させた。 ある左側脳梗塞患者では、咬筋C波に特に異常所見を認めなかった。しかし、参考に記録した第1背側骨間筋で、特異な所見を見せた。頭頂からの右皮質に有効方向の刺激では、両側の標的筋にC波を認めたが、左皮質に有効方向の刺激では、右標的筋にのみ大振幅のC波を認め、右手握力低下という所見と矛盾していた。さらに、頭頂部の左4cmからの刺激では、左皮質に有効方向の刺激電流ではC波を認めず、非有効方向(右皮質に有効方向となる)の刺激電流でC波を誘発した。刺激コイルの半径が4.5cmであることと上記の結果から、左側脳梗塞の結果、頭頂部に近い右運動皮質がその代償を行なって、同側経路が強化されたことを示唆したものと考えた。
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