1998 Fiscal Year Annual Research Report
キチン・キトサンを結合材とした骨補填材の生体反応について
Project/Area Number |
10671850
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 充雄 松本歯科大学, 付置研究所, 教授 (70064681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 勇一 松本歯科大学, 付置研究所, 助手 (80288373)
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Keywords | ハイドロキシアパタイト / 骨補填材 / キチン・キトサン / 生体吸収性 |
Research Abstract |
キチン・キトサンは甲殻類から抽出される天然の高分子材料であり,生体内でCO2と糖に分解・吸収され,なおかつ抗原性が低いのが特徴である.このキチン・キトサンを生体材料として利用することが考えられる.キチン・キトサンを酸によってゾル化させ,アルカリ物質,特に二価の金属酸化物によってゲル化させることが出来る.この性質を基にハイドロキシアパタイトを主成分とし,CaOとCaSiO_3を含有したキチン・キトサンを結合材とした骨補填材を作製した.本研究は,粉末量とキチン・キトサンプル量とが骨形成にどのように影響するかについて検討を行った.ハイドロキシアパタイト89.5%,Ca04.5%,CaSiO36.0%の合成粉末量0.54g,0.67g,0.80gのそれぞれとキチン・キトサンプル2.2gを練和し,ラット脛骨内側面に2×7mmに骨髄にいたる欠損を形成し,それぞれの補填材を欠損部に充填した.手術後,2,4,および8週間目に術部脛骨の採材を行い10%EDTAにて脱灰後,ヘマトキシリン・エオジン染色を施し,光学顕微鏡で観察した.その結果,(1) 各硬化体に対する組織反応は質的に類似し,炎症性細胞浸潤を伴った肉芽組織で構成されていた.また,練和する粉末量が多い硬化体ほど多核巨細胞の出現が認められた. (2) 骨組織において欠損部の修復が粉末量0.67gの硬化体と粉末量0.80gの硬化体に認められた. (3) 粉末量0.54gの硬化体は直接骨と結合しているのが観察され,骨補填材として有望であることが示唆された. (4) 長期の観察と骨芽細胞様細胞を用いた実験を平成11年の予算にて行う計画である.
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