MNUの徐放性局所投与によるマラッセの上皮遺残由来歯原性腫瘍誘発実験

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10671867
• Research Institution: Niigata University
• Principal Investigator: 鈴木 一郎 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80179192)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 濱本 宜興 新潟大学, 歯学部, 助手 (40231526) ; 高田 真仁 新潟大学, 歯学部, 助手 (10251828) ; 中島 民雄 新潟大学, 歯学部, 教授 (10014010)
• Keywords: マラッセの上皮遺残 / 歯原性腫瘍 / メチルニトロソウルア

Research Abstract

これまでの歯原性腫瘍発生実験の発生率は他の口腔内悪性腫瘍の発生率と比較して極めて低く(3〜8%)、発生までに要する期間も5-12か月と長かった。われわれは歯原性腫瘍発生機序の解明のために、効率の良い実験系を開発した。
0.25gのアルジネイト印象剤とMNU200mgを混和し、合計で2mlとした。これを18G針付きシリンジ内につめ、生後5週齢のウイスター系ラット左側下顎骨頬側面上に0.3ml(投与量MNU=30mg、約300mg/kg)注入した。対照にはアルジネイト印象剤のみを注入した。処置後1、3、5、8、12か月後に固定、脱灰、パラフィン固定し、観察した。。
その結果、5ヶ月後に100%の確率で、有根歯である臼歯のマラッセの上皮遺残が増殖し、扁平歯原性腫瘍が発生した。また数%の確率ではあるが切歯エナメル芽細胞からエナメル上皮腫が発生した。このほかにmalignant fibrous histiocytomaや扁平上皮癌なども発生した。
歯原性腫瘍は良性腫瘍的性格を有するので、その発生には5ヶ月以上の長時間を要する。これまでの全身投与実験系では、内臓に発生した腫瘍のために歯原性腫瘍発生前に実験動物が死亡し、目標である歯原性腫瘍の発生率が低くなっていると考えられた。われわれはMNUを局所投与することで、実験動物の寿命を延ばしている。結果的に100%の確率でマラッセ上皮遺残由来の腫瘍性病変の発生を得られたと考えられる。

Research Products

• [Publications] Yoshioki Hamamoto: "Morphological changes of epithelial rests of Malassez in rat molors induced by local administrarion of N-methylnitrosourea"Archives of Oral Biology. 43. 899-906 (1998)
• [Publications] 濱本宜興: "マラッセの上皮遺残の臨床的役割"ザ・クインテッセンス. 17. 3-12 (1998)