2000 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経切断に伴う有髄神経の中枢投射様式の変化に関する研究
Project/Area Number |
10671892
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Research Institution | Miyazaki Medical College |
Principal Investigator |
西森 利数 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (20112211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 哲也 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (20264369)
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Keywords | 坐骨神経 / 神経切断 / c-Fos / Zif / 268 / 脊髄後角 / グルタメイト / MK-801 / CNQX |
Research Abstract |
末梢神経が切断されると痛みの伝達に関与する神経の中枢投射部位に転写調節因子であるc-FosやZif/268が発現する事はよく知られ、この転写因子の発現が神経切断に伴う神経細胞の機能的変化を引き起こす引き金になると考えられてきている。しかし、神経を切断するためには予め神経を露出する必要あり、この操作だけで転写調節因子は発現する。三叉神経切断に起因する転写調節因子の発現機構を検討することには幾つかの困難が生じたので、平成12年度には脊髄神経である坐骨神経切断による腰脊髄部の後角での転写調節因子の発現機構について検討した。 坐骨神経を切断すると、転写調節因子であるc-FosやZif/268が脊髄後角のI/II層の内外側全体に発現したが、坐骨神経の露出だけではI/II層の外側1/3に発現した。坐骨神経切断により脊髄後角のI/II層の外側1/3に発現される陽性細胞数は坐骨神経露出による陽性細胞数とほぼ同じであった。このことは、神経切断後の脊髄後角I/II層の内側2/3に発現する転写調節因子は神経切断に由来し、外側1/3に発現するものは神経露出に由来するものであることが示唆された。そこで、中枢神経系で最も代表的な興奮性神経伝達物質であるグルタメイトのアンタゴニストで前処理し、神経切断による転写調節因子の発現に対するグルタメイトの関与について検討した。NMDA受容体のアンタゴニストであるMK-801とnon-NMDA受容体のアンタゴニストであるCNQXで前処理すると、坐骨神経切断によるc-FosとZif/268の発現は後角I/II層の外側1/3だけで減少し、内側2/3には前処理の効果は認められなかった。このことは、神経切断と神経露出による転写調節因子の発現機構は同じでないことを示唆している。
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