1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト生体内で生成されうる発癌物質による口腔癌発生についての実験的研究
Project/Area Number |
10671898
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山本 一彦 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20243842)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桐田 忠昭 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (70201465)
|
Keywords | N-nitroso-2,6-dimethyimorpholine / 4-nitroquinoline 1-oxide / cyclooxygenase-2 / tongue cancer / endogenous formation / rats |
Research Abstract |
実験にはFischer344雄性ラットを用い、N-nitroso-2,6-dimethylmorpholine(NDMM)含有飲料水(10mg/lおよび20mg/l)を40週間投与することにより鼻腔、舌、食道腫瘍を、対照としてN-nitroquinoline1-oxide(4-NQO)含有飲料水(10ppm)を24週間投与することにより舌腫瘍を発生させた。得られた病変は病理組織学的に検討し、過形成、異形成、乳頭腫、癌腫に分類した。まず舌について、健常粘膜およびそれぞれの病変についてcyclooxygenase-2(COX-2)の免疫組織化学的染色を行なったところ、健常舌粘膜においては基底細胞層に弱い発現を認めるのみであったが、病変の進行に伴って染色領域と強度が増大する傾向ががみられ、癌腫で最も顕著であった。さらに、CPX-2蛋白の発現についてWestern blot法により検討したところ、癌腫においては、健常舌粘膜と比較してCOX-2蛋白の発現は約5.5倍増強していた。一方、COX-1蛋白の発現の増強は認められなかった。以上の結果より、舌癌発生過程においてCOX-2蛋白の発現が関与していることが示唆された。現在、NDMMで発生した鼻腔腫瘍についても同様の検討を進めており、今後、COX-2特異的インヒビターを用いた実験により、口腔癌発生におけるchemopreventionの可能性についての検討を進める予定である。
|