Research Abstract |
超選択的動注化学療法(AUCを4.5として設定したCBDCA投与,以下動注)を行い,放射線多分割照射(30Gy)とUFT^<【〇!R】>投与群(以下標準治療群,15例),動注+多分割照射でUFT^<【〇!R】>を投与しない群(14例),動注+単純分割照射(30Gy)でUFT^<【〇!R】>投与群(27例)に分け,切除材料による原発巣の組織学的腫瘍消失率(組織学的CR),血液毒性の発現頻度(WHO基準によるgrade3と4)を検討した. 1.組織学的CRは標準治療群で73%(11/15),UFT^<【〇!R】>を投与しない群で28%(4/14),単純分割照射群で22%(6/27).組織学的CR症例(21例)では原発巣の再発は認められていない. 2.各群の治療後のHb,白血球数,血小板数を検討した.標準治療群ではgrade3のみが3名(20%),UFT^<【〇!R】>を投与しない群,単純分割照射群では発現しなかった. 3.腫瘍内血管数と治療効果の関連をみるため,生検標本で腫瘍内微小血管数を算定した.血管染色に第VIII因子とCD31を用いて検討したところ,両者とも有意(p<.05)の関連があった. 治療効果に影響すると思われる因子を多変量解析で検討した結果,分割照射法,UFT^<【〇!R】>投与の有無,腫瘍内血管密度の多少が有意(p<.05)の関連を示した.すなわち,腫瘍内血管密度が高い症例では標準治療により組織学的CRを得る可能性が高い.また,標準治療に合併する骨髄抑制の頻度,程度とも許容範囲である. 以上の結果は,標準治療は進行口腔癌に対して臓器温存が可能であることを示唆している.さらに,臨床的CR症例に対して手術治療を行う場合でも,治療前の腫瘍範囲は瘢痕収縮により平均約40%縮小し(入れ墨による治療前後の計測),切除範囲が縮小できるため,QOL(発音,開口域,摂食,顔貌)の著しい低下は避け得る.しかし,得られた結果を他の治療法とどのように比較するかが課題である.
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