1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671923
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井川 資英 東北大学, 歯学部附属病院, 助手 (80176065)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 準二 東北大学, 歯学部, 助教授 (00005109)
堀内 博 東北大学, 歯学部, 教授 (00013962)
三谷 英夫 東北大学, 歯学部, 教授 (50014220)
|
Keywords | 歯髄 / 血流 / 矯正移動 |
Research Abstract |
矯正力を付与した際の歯髄の動態、特に,歯髄血流に関する報告は限られている。本研究では、ヒトの歯に圧下力を短時間付与した際の歯髄血流の変化を、レーザードップラー血流計を用いて検討した。 測定は26〜30歳の健康な成人5名の、臨床的に健全な上顎左側中切歯5本について行った。測定に先立ち、被験者に本研究の目的と測定方法を説明し、インフォームドコンセントを得た。歯髄血流はレーザードップラー血流計(MBF3D;Moor lnstruments)を用いて測定した。被験歯唇側の歯頸部から2mm切縁方向で近遠心的に中央の位置に、歯科用セメントを用いて歯面に垂直方向に金属性チューブを固定し、そこに血流測定プローブを挿入した。測定の際、歯周組織への光の散乱を減ずるために、被験歯に遮光性のラバーダムシートを装着した。測定歯切縁中央部から歯軸の根尖方向に、250g重の圧下力を約20秒間加え、加圧の間及びその前後を通して、歯髄血流を連続測定した。 ラバーダムシートを装着した場合の歯髄血流指示値は、装着しない場合に較べて、圧下力を付与する間、およびその前後、それぞれ有意に小さかった(n=5,p<0.041:Wilcoxon signed rank test)。ラバーダムシートを装着した場合、圧下力の付与は、測定を通して歯髄血流指示値に有意の変動を生じさせた(n=5,p<0.040:Friedman test)。ラバーダムシートを装着しない場合は、有意な変化は得られなかった。以上の結果から、ヒト上顎中切歯に対して250g重程度の圧下力を与えた場合、歯髄血流に変化が生じる可能性が示唆された。
|