1999 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内手術法による顔面頭蓋奇形モデル動物の形態補償機構の解析
Project/Area Number |
10671926
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大山 紀美栄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90014216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 聖一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (90187732)
黒田 敬之 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10013939)
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Keywords | 創傷治癒 / 先天異常 / 上皮 / 胎生期 / 子宮内手術法 |
Research Abstract |
当教室にて開発された形態異常を発現する実験モデル動物の研究から、胎仔が子宮内において損傷を受けた時、出生時における形態異常の発現を抑制する補償機構の存在が示唆された。そこで、胎生期における創傷治癒機転の特徴を明らかにするとともに、この機転と形態的補償機構との関わりについて検索する目的で、胎生期と生後のマウスにそれぞれ熱傷を作成し、その治癒過程について比較検討を行った。(材料、方法)実験には妊娠14日目のICR系マウス母獣42匹、および生後1日の仔マウス4匹を用いた。母獣の子宮内より胎仔を羊膜に包まれた状態で露出させ、羊膜を通してレーザー光線を照射して鼻口唇部に熱傷を作成した後、母獣にもどして妊娠を継続させた。施術後、経時的に胎仔を摘出して組織標本を作製し熱傷作成部位について組織学的観察を行った。生後の個体については、熱したワイヤーを仔マウスの鼻口唇部に接触させて熱傷を作製した後、経時的に屠殺して同部位について組織学的観察を行った。(結果)生後の個体では、熱変性した組織と正常組織の間に新生上皮の侵入が見られ、術後48時間まで変性組織が新生上皮によって体外に切り離される像が観察された。これに対し胎生期では、変性した組織の一部や出血に伴う血球の凝集塊が新生上皮、および上皮下組織によって被覆化され、その後上皮下組織中に拡散していく様相が観察された。このような胎生期において観察された変性組織を被覆化し体内に取り込む創傷治癒機転は、出生時形態異常の発現を抑制する上で有利と考えられた。
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