2000 Fiscal Year Annual Research Report
時分割磁気変換式6自由度センサーによる安静時と嚥下時の頭位,下顎位,舌形状の解析
Project/Area Number |
10671940
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
丸山 陽市 長崎大学, 歯学部・附属病院, 講師 (50173969)
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Keywords | 6自由度位置センサー / 頭位 / 下顎位 / 舌形状 |
Research Abstract |
被験者の頭部および顔面部を測定フレーム内に位置づけ,下顎前歯部,頭部,左右肩部に磁気センサを装着し,バイモルフ圧電フィルムを5個直列に配列したセンサを舌表面に接着して無意識下での嚥下時の発生電圧を得た.これにより3次元空間での頭部,下顎部,上肢の位置情報および舌の形状情報を得ることが可能となった. 計測の被験者は,事前に実験の内容を説明して実験への協力の同意を得た正常咬合者と開咬症例とした.頭位,下顎位,上肢の解析は安静状態を対象とし,舌形状の解析は無意識下での嚥下を対象とした. 1)正常咬合者と開咬症例について,安静位における頭位,上肢と下顎位,および嚥下によって生じる頭位や下顎位の変化,舌背表面の形状変化を比較することが可能となった. 2)被験者の下顎運動を3次元コンピュータグラフィックスを用いてリアルタイムに観察可能であった. 3)安静時における姿勢変化では,開咬症例では正常咬合者に対して頭部が上方に傾斜する傾向が認められた.上肢では特徴的な傾向は認められなかった.自発嚥下においては,正常咬合者では下顎の動きに同期した頭部の姿勢変動が認められ,上肢にも同様な傾向が認められたがその変動はわずかであった.開咬症例においては,下顎と頭部・上肢の姿勢変動の同期性は明確に認められなかった. 4)正常咬合者では舌背部でのセンサの曲率が大きく,舌背部の挙上が認められたが,開咬症例では舌背部でのセンサの曲率が小さく,舌背部が平坦な状態で嚥下を行っていた.正常咬合者では舌尖が最上方位に到達する前に舌背の低下が発生し,舌尖が最上方に位置した後に舌背は最下方に位置していた.開咬症例では,舌背低下の開始時期は正常咬合者と類似していたが,舌尖の上方移動量は小さく舌背の最低下が正常咬合者よりも早期に出現し,舌尖が最上方に位置する以前に舌背は最下方に位置していた.
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