Research Abstract |
長崎市内の某女子中学校生徒全員291名を対象に,4月に顎関節に関するアンケートを実施した。自覚症状に関わる7項目(顎関節音,顎のこわばり,だるさ,開口障害,開口時疼痛,顎運動時疼痛,顎関節周囲の筋肉痛,顎がはずれたり動かなくなった経験)のうち,いずれか1つに該当した者(1年生:11名,2年生:16名,3年生:26名)合計53名を保健指導対象者とした。保健指導対象者に対して7月,10月,2月の年3回,昼休みの時間を利用して顎関節に関する保健指導を実施した。さらに顎関節に関する自覚症状,他覚症状,悪習癖,外傷の有無,耳・鼻の病気の有無,ストレスの状態,咬合状態などを調査して,保健指導対象者に原因と考えられる行動を自覚させ,それらを改善するような具体的な方法(過度な咀嚼,ガム噛み,大きなあくび,カラオケなどの中止,クレンチング,プラキシズム,舌突出癖,不適切な睡眠姿勢,ある種(主に吹奏楽器)の演奏の中止および改善)を指導するとともにそのためのモチベーションを実施した。調査開始の4月における顎関節自覚症状を有する者の割合は1年生:13.1%,2年生:16.1%,3年生:29.3%であった。自覚症状を有する対象者に対する1年間の指導後の予後は治癒,改善,不変,進行の割合の順で1年生:54.5%,27.3%,9.1%,9.1%,2年生:18.8%,62.5%,18.8%,0.0%,3年生:61.5%,15.4%,15.4%,7.7%であり,治癒,改善の割合は約75%〜80%であった。
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