1998 Fiscal Year Annual Research Report
人工的な環境が野生ヤクシマザルの歯、歯列弓および上下顎骨の形態に与える影響
Project/Area Number |
10671954
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
阿部 操 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (70130416)
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Keywords | ヤクシマザル / 頭部X線規格写真 / アーチレングスディスクレパンシー / 軟食化 |
Research Abstract |
屋久島で捕獲され日本モンキーセンター犬山野猿公苑で飼われていた、日本モンキーセンター栗栖研究所所有の第1世代から第4世代までの雌成獣ヤクシマザルの乾燥頭蓋を用いて、X線管球の焦点-フィルム間距離165cm被写体-フィルム間距離15cmでX線の主線が外耳道に挿入された左右のイアーロッドの中心を通過しフィルムに直行する、通常矯正治療の診断に用いられる撮影条件で側貌頭部X線規格写真を撮影し、写真上で計測点間距離および角度計測を行った。 得られた計測値に対して第一世代と各世代間で統計処理(t検定および主成分分析)を行った結果、顎骨の形態に世代を追って縮小傾向が生ずることが示唆され、特に前顔面部の縮小が著しかった。 ヤクシマザルの食性は、屋久島では果実、葉、種子、花、昆虫およびキノコを食しており(揚妻、1995)、日本モンキーセンター犬山野猿公苑では餌としてサツマイモ、リンゴ、さなぎ、小麦、果実およびピーナッツを与えられていることから、顎骨の形態のこの変化は野生状態から人工的な状態への食生態の軟食化によるものと考えられる。 今後は、正貌頭部X線規格写真と歯および歯列弓に対して、大きさと形の検討を加える。
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