1998 Fiscal Year Annual Research Report
人工唾液中の歯質の再石灰化におよぼすフッ素徐放性材料の影響について
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10671956
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
高橋 建作 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (90130682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 正明 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (40095097)
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Keywords | 人工唾液 / フッ素徐放性材料 / グラスアイオノマーセント / フッ素放出 / 牛歯エナメル質 / 牛歯象牙質 / 脱灰・再石灰化 |
Research Abstract |
欧米先進諸国におけるう蝕減少の背景として局所的なフッ化物応用が挙げられているが,臨床面ではグラスアイオノマーセメント(以下GIC)のフッ素徐放能の有用性が広く認知されるようになった.最近の研究成果から,このう蝕予防効果に関しては,歯牙周囲に存在する低濃度フッ素による再石灰化作用が重要視されているが,そのメカニズムについては依然として不明の点も多い. よって,本研究における初年度の目的として,人工唾液中にフッ素徐放能の異なる3種類の修復用GICと脱灰および非脱灰牛歯エナメル質,象牙質存在下でのフッ素濃度とカルシウム濃度の変化を経時的に測定し,これにおよぼす要因および両イオンの相関性について検討することとした. 各材料から円柱状の試料を作製し,ただちに2mlの人工唾液入りのプラスチックビーカー中に牛歯歯質と共に37℃で静置保存した.試料作製から1週間経過後新しいプラスチックビーカーと交換した.この操作を10週にわたり行い,フッ素電極,カルシウム電極とイオンアナライザーにて保存溶液中の両イオン濃度を測定した。牛歯については,表面を研磨後,直径8ミリ粘着テープで被覆し,残存部すべてにプロテクトバーニッシュを塗布・バ硬化後,酸蝕試料はエッチングジェルで30秒間の酸蝕処理を施した. そして,以下の結果を得た. 1. 放出フッ素量については,歯質の種類に次いでGIC種類による影響が認められたが,酸処理による影響は認められなかった. 2. 残存カルシウム量についても,放出フッ素量の同様の効果が認められた. 3. 放出フッ素量と残存カルシウム量との間には負の相関が認められた. 次年度は,これら歯質のマイクロラジオグラムとEPMA分析による検討を行う予定である.
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