1998 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症患者の歯科疾患発症の特異性に関与する要因の検索
Project/Area Number |
10671962
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
福田 理 愛知学院大学, 歯学部, 助教授 (60090148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒須 直子 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (00281478)
柳瀬 博 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10211616)
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Keywords | ダウン症候群 / エナメル質 / フッ素濃度 / マグネシウム濃度 / 歯肉 / 増殖能 |
Research Abstract |
本年度,Down症候群児と健常児の乳歯エナメル質の生化学的分析および歯肉由来繊維芽細胞の生化学的特徴の相違について検索を行った。 抜去上顎第二乳臼歯エナメル質表層部の生化学的組成の分析では,micro-sampling法により表層より20μmの深さまでのFとMg濃度を測定分析した。F濃度ではDown症児は健常児に比して相対的に低い濃度を示し,歯頚側内層においてその差は顕著であった。Mg濃度の分析では,Down症児は健常児に比して全層において高い濃度を示し,内層においてその差は顕著であった。エナメル質の酸脱灰量の分析では,Down症児は健常児に比して脱灰量は大きく,その差は歯頚側において顕著に認められた。以上の結果からDown症児の乳歯エナメル質表層は健常児に比べ石灰化不良であり,Down症児の低齲触性を証明する結果は得られなかった。現在,新産線を含むエナメル質内層と外層の組成を健常児と比較・検討中である。 歯肉由来繊維芽細胞の生化学的特徴の検索では,Down症児の歯肉繊維芽細胞は健常児のそれと比べ,継代培養を重ねる毎に細胞数の増殖率の衰えが認められ,MTT法(Colorimetric assay for cell survival and proliferation)での評価で継代初期の段階ですでに両者間にの細胞増殖能に差が認められた。そこで,現在この相違について要因検索を実施しているところである。 Down症患者の唾液,歯垢,食習慣,嗜好,歯口清掃状況などの口腔内環境の特異性分析については,障害児・者施設で他の障害を含めて調査中である。
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