1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671963
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
大東 道治 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40067103)
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Keywords | 小児 / 歯肉炎 / 歯口清掃 / レーザー血流計 |
Research Abstract |
研究の目的 小児歯科臨床において、最近、乳歯の齲蝕が減少傾向にあり、小児の歯肉炎は近年の軟性で粘着性の食品の嗜好や歯口清掃不良により増加傾向にある。小児歯科診療でも歯口清掃時に歯肉の炎症のために出血する小児を多く認めるようになった。その原因は、歯面に付着した歯垢による刺激で、適正な歯口清掃指導により改善する。また、歯肉部での血液の流れ(血流量)が歯肉の炎症や腫脹に著明に関連している。そこで、私たちは、小児の歯肉部の血流量が歯肉の状態や症状にどのように影響するかを探求する目的で研究を行った。 研究方法 対象患者は、大阪歯科大学小児歯科外来を訪れた男児15名と女児17名である。血流量の測定部位は、上顎乳前歯の歯間乳頭歯肉部3か所である。患者を診療チェアーに仰臥位にさせ、アドバンス社製レーザー血流計・ALF21Nを用いて、非接触で歯肉表面下から約1mm部位の歯肉の血流量を測定した。血流量の測定は、2秒間隔に10回測定し平均値を求めた。次に、歯ブラシを歯みがき圧指導器に差し込み、対象歯肉部に対して歯ブラシ圧300から500gで1分間歯口清掃を行った。その後すぐに同じ歯肉部の血流量を同様に測定し、歯口清掃前後の血流量を比較検討した。 研究結果 1.上顎乳中切歯間の血流量は、乳中切歯と乳側切歯間よりも多かった。 2.女児の血流量は、男児よりも少なかった。 3.歯肉の歯口清掃により血流量が少なくなった。 4.歯口清掃で出血した場合には、血流量はより少なくなった。 歯肉の血流量の測定は、正常な歯肉の状態を把握したり、歯ブラシによる歯口清掃による歯肉炎の改善を判定するために有効であり、今後、小児の歯肉に関する臨床的な研究に役立つものと思われる。
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