1999 Fiscal Year Annual Research Report
アミン-N-オキシドを触媒とする新規不斉合成反応の開発
Project/Area Number |
10671978
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中島 誠 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (50207792)
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Keywords | アミン-N-オキシド / キラルN-オキシド / 不斉触媒 / 不斉アリル化反応 / 不斉共役付加反応 |
Research Abstract |
アミンN-オキシドは高い求核性と低い塩基性を特徴とする興味深い官能基である。N-オキシド化合物の変換反応に関しては膨大な研究例が知られているが、これを触媒または触媒の構成配位子とする有機合成反応の開発は殆ど試みられていない。いままで顧みられなかった配位子としてのN-オキシド化合物に注目し、前年度に引き続き,その特性を活用した新規合成反応の開発を目的として検討を行った結果、以下の知見を得た。(1)前年度に見出した(S)-3,3'-ジメチル-2,2'-ビキノリンN,N'-オキシドを触媒とするアリルトリクロロシランによるアルデヒドの不斉アリル化反応を応用して,塩化アリル誘導体からワンポットで光学活性ホモアリルアルコールを合成する簡便法の開発に成功した。本反応は,対応するアリルトリクロロシリル誘導体が酸や熱に不安定な場合にその威力を発揮する。(2)N-オキシド・ヨウ化カドミウム錯体がエノンに対するチオフェノールの不斉共役付加反応の触媒として有用であることを見出した。(S)-3,3'-ジメチル-2,2'-ビキノリンN,N'-オキシド・ヨウ化カドミウム錯体を触媒としたシクロヘキセノンに対するチオフェノールの共役付加反応において,79%eeで対応するスルフィドが得られた。これはカドミウム化合物を不斉触媒とする初めての有機合成反応であり,N-オキシドがカドミウムの特異な反応性を引き出した結果である。
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[Publications] Nakajima, M. et al.: "One-pot Enantioselective Synthesis of Optically Active Homoallylic Alcohols from Allyl Halides and Aldehydes"Chemical and Pharmaceutical Bulletin. 48. 306-307 (2000)
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[Publications] 中島 誠: "新規軸不斉ビアリール化合物の合成と触媒的不斉合成反応に関する研究"YAKUGAKU ZASSHI. 120. 68-75 (2000)