2000 Fiscal Year Annual Research Report
Ru^<II>触媒を用いるメソ不斉化による高機能性キラル合成素子の開発
Project/Area Number |
10671982
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 勉 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50006350)
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Keywords | キラル合成素子 / ルテニウム-キラルアミン錯体 / 不斉水素転移反応 / Baylis-Hillmann反応 / Eschenmoser-Claisen転移反応 / Pauson-Khand反応 / ジアステレオ制御合成 / (+)-arnicenone |
Research Abstract |
昨年度までの研究によって,すでに多目的キラル合成素子として利用性の高いシクロペンタジエノンのキラル等価体として機能するケトジシクロペンタジエン(KDP)合成の前駆体として機能するラセミ基質アリルアルコールがα無置換体ならびにα置換体に関わらずルテニウム(Ru^<II>)-キラルジアミン錯体[Ru^<II>-(S,S)or(R,R)-TsDPEN]触媒存在下に不斉水素転位反応により2種のキラル成績体を与えることを見出した. そこで,KDPとホルマリンとのBaylis-Hillman反応によってα-ヒドロキシ体とし,還元によって得られた2重のアリールアルコール単位を持つ基質に不斉水素転位反応を適用することにより獲得したキラル合成素子を出発原料とし,トリキナン型セスキテルペンのジアステレオ制御合成を検討した. すなわち,光学活性な基質の2重のアリールアルコール単位の一方のアリールアルコール部をブロモエーテルとして保護し,次いでEschenmoser-Claisen転位を適用し2炭素増炭後,得られたアミド体をプロパギル化,次いでPauson-Khand反応に付し,5環性化合物に導き,レトロDiels-Alder反応により3環性トリキナン型化合物を合成した.これより数段階の操作によりトリキナン型セスキテルペンである(+)-arnicenoneの最初のジアステレオ制御合成を達成し,その絶対配置を明確にした.
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