1998 Fiscal Year Annual Research Report
デオキシタイプフラボノイド合成酵素の遺伝子レベルからの解明
Project/Area Number |
10671991
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
野口 博司 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60126141)
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Keywords | コガネバナ / カルコン合成酵素 / シソ / ナリンゲニン |
Research Abstract |
コガネバナ特有のフラボノイドwogonin,baicalein、その配糖体等は植物では地上部に含まれ培養組織では対数増殖期以降に含量が急増する。そこで5月〜6月生育の旺盛な植物体の茎葉並びに対数期の培養細胞(maltose(5%);1/2MS培地;2、4D、kinetin;当県立大学薬草園)からフェノールSDS法にてtotalRNAを抽出した。CHS遺伝子は植物分類に従って高い相同性があり、なかでもクズCHSの配列番号で、翻訳領域中の112番目から8アミノ酸残基、167番目、174番目に10アミノ酸残基、360番目前後に20アミノ酸残基、夫々相当する位置に殊に配列相同性の高い保存領域が存在する。これらは、松など裸子植物のスチルベン生合成酵素でも一致しており、またシソ科シソのCHS配列でも一致しているのでコガネバナの場合も高い相同性が期待される。 これらのCHS部分塩基配列をもとにプライマーを設計し、PCR用サーマルサイクラー、恒温震盪培養器を用い、RT-PCR法とネステッドPCR法を組み合わせてまず部分長cDNAを取り、これを回収し大腸菌にクローニングして増幅し当県立大学共同利用機器ABI373シークエンサーによって塩基配列を決定した。次に得られたコガネバナ固有の配列を用い、3-RACE法、5′-RACE法によって夫々3′側、5′側を延長する。5′側は約160アミノ酸残基分、3′側は精々40アミノ酸残基分伸長すればよいので現在の技術では本法が最も簡便と考えられる。RACE法の奏功しないのでcDNAライブラリーを合成し、そこでPCRを行う。次にPCR産物中、全長と思われる約1.4KbのcDNAを増幅し、これを発現ベクターに組み込む。CHSを発現させ粗抽出液においてpクマル酸CoA或いは桂皮酸CoAと(^<14>C)マロニルCoAを基質として酵素反応を行いナリンゲニン、ピノセンブリン生成活性を測定した.現在酵素タンパクをアフィニティカラムで精製し、種々の基質を用いた際の生産物をHPLCで定量分析し得られたクローンの中から桂皮酸CoAに基質特異性の高いものを選別している。
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