1998 Fiscal Year Annual Research Report
計算化学によるN-およびS-イリド転位機構の比較研究
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10671992
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
白井 直洋 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (80080208)
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Keywords | イリド / シグマトロピー転位 / allyl転位 / benzyl転位 / MOPAC / ab intio / B3LYP / 6-31G* / 遷移状態 |
Research Abstract |
N-およびS-イリドの[2,3]シグマトロピー転位反応において,分子内に2種類の反応点(allyl基とbenzyl基)が存在する場合,その反応挙動に差があることはChem.Pharm.Bull.47(1999)に報告した. 計算化学によるN-およびS-イリド転位機構の比較研究は次のようにおこなった.N-およびS-イリドの構造とそれらのallyl転位とbenzyl転位の遷移状態を半経験的分子軌道法(PM3およびMNDO-d)と非経験的分子軌道法(3-21G^*および6-31G^*)を用いて求め,活性化エネルギーおよび構造を比較した.N-イリドのallyl転位の活性化エネルギーは半経験的分子軌道法では非経験的分子軌道法より低い値であった.一方,S-イリドの活性化エネルギーは半経験的分子軌道法では非経験的分子軌道法より高い値であった.benzyl転位の活性化エネルギーではN-イリドは半経験的分子軌道法は非経験的分子軌道法より低い値を得た.一方,S-イリドでは半経験的分子軌道法と非経験的分子軌道法は近い活性化エネルギー値を得た.S-イリドのbenzyl転位の活性化エネルギーは実験結果から予想されるよりも高い価を示した.電子相関を取り入れてS-イリドのbenzyl転位の活性化エネルギーを計算した(B3LYP/6-31G^*)結果,実験結果を指示するような低い値が得られた.B3LYP/6-31G^*法で得られたN-およびS-イリドの[2,3]シグマトロピー転位反応の遷移状態構造には特徴的な差が見られた.この結果は1999計算化学討論会(東京,5月)に発表する予定である.現在,遷移状態構造の特徴的な差と反応挙動の差について解析中である.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Nishimura,N.Shirai,Y.Sato et al.: "Comparison of the Reaction of Benzylammonium N-Methyl:des with That of Benzylsulfonium S-Methyl:cle" Chemical & Pharmacentical Bulletin. 47・2. 267-272 (1999)