1999 Fiscal Year Annual Research Report
凡用生薬の抗酸化作用画分及び同作用成分の予防医学への応用に関する基礎研究
Project/Area Number |
10671998
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
木下 武司 帝京大学, 薬学部, 助教授 (10107386)
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Keywords | 甘草 / 生薬 / 抗酸化作用 / 過酸化脂質抑制作用 / スーパーオキサイドアニオン / 活性酸素 |
Research Abstract |
1.ロシア甘草(Glycyrrhiza glabra Root)の塩化メチレン抽出脂溶性画分(PT ext.)について詳細な成分研究を行い、微量成分として2種のイソフラバノン誘導体(RL-Q、RL-R)、3-アリルクマリン誘導体(RL-U)及びクロメノクロマン誘導体(RL-V)をそれぞれ1種ずつ、計4種の未記載化合物を単離、精製した。これら各物質の構造はNMR,IR,UVなどの分光学的手法により、RL-Qは2'、4'-dihydroxy-[6",6"-dimethylpyrano(2",3":7,8)]-isoflavanone、RL-Rは[6",6"-dimethylpyrano(2",3":7,8]-2'-hydroxy,4'-methoxy-isoflavanone、RL-Uは4',7-dihydroxy-[6",6"-dimethylpyrano(2",3":2',3')]-3-arylcoumarin、[6',6'-dimethylpyrano(2',3':7,8)]-benzopyran-3-olと構造決定した。 2.前述の成分研究で得られたロシア甘草の主要フェノール性成分について、耐性菌(MRSA)を含むグラム陽性細菌、酵母、かび、う蝕菌、乳酸菌に対する抗菌試験を行い、そのいくつかに強い抗菌活性が認められた。 3.同上の成分についてリノール酸の酸化抑制作用、xanthinc oxidascにより生成されたスーパーオキサイドアニオン(SO_2)の捕捉作用、ラット肝ミトコンドリアを用いた抗脂質過酸化作用、ラット肝ミクロソームを用いた抗脂質過酸化作用及びラット肝ミクロソームを用いた抗スーパーオキサイドアニオン(SO_2)作用に対して試験を行い、各成分において特色ある活性が見られた。とりわけ、RL-Mは多くの天然抗酸化作用物質に共通して見られるカテコール基を分子内にもたないにもかかわらず極めて強力な抗酸化作用を示した。赤血球膜の保護作用については、精製サンプルを用いた試験は赤血球に対する直接作用のためできなかったが、ロシア甘草の脂溶性画分(PT-ext.)について検討した結果顕著な活性が見られた。
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