1998 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物活性抗腫瘍活性イソキノリン系天然物の全合成研究
Project/Area Number |
10672005
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
久保 陽徳 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (60097201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 直樹 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (80142545)
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Keywords | 海洋天然物 / イソキノリン / フェノール保護基 / 部分合成 / 位置選択性 / エクチナサイジン / 制癌活性 |
Research Abstract |
海洋生物活性天然物エクチナサイジンの全合成経路の開発にあたり、本年度は特にそのABC環部モデル化合物の効率的合成経路の確立を目的とした研究を展開し以下に示す研究成果を得た。 1 特徴的なA環部の置換様式の構築にあたり、いままで我々は最終工程においてフェノール性水酸基を導入する戦略を用いてきた。しかしながら、本戦略を天然物合成に適用することは困難である。そこで、特にB環部(テトラヒドロイソキノリン)形成の前にフェノール性水酸基を導入する新たな戦略を基盤としてABC環部モデル化合物の構築を行い、環化において、目的物とともに位置異性体が生成することを明らかにした。 2 モデル化合物の合成に際して、臭素原子によりマスクした環化前駆体を用いた環化反応により位置異性体の生成を防ぐ新しい合成経路の開発に成功した。以上の結果は速報として発表した。 3 これらの結果を用いて、エクチナサイジンの全合成に着手したが、残念ながら、Baeyer-Villiger酸化反応を用いるフェノール性水酸基の導入は不成功である.従来、我々は高度に酸素官能基化された芳香環の保護基として、ベンジルやメチル基を用いてきたが、新たな保護基を用いる必要性に迫られた。 4 以上の知見に基づいて、最近開発されたイソプロピル基をフェノール性水酸基の保護基として用いる手法に着目し(Banwell M.G.,Flynn S.G.,Stewart S.G.,J.Org.Chem.,1998,63,9139-9144)、はじめからすべての置換様式を整えたベンズアルデヒドの大量合成を行った(未発表)。 現在、エクチナサイジン基本骨格の大量合成を展開している。
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