1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規固相上縮合反応を用いるドラスタチン15の効率的合成と構造活性相関研究
Project/Area Number |
10672011
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
赤路 健一 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (60142296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 徹 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (70204980)
藤原 洋一 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (60199396)
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Keywords | ドラスタチン15 / 固相上縮合 / 縮合剤 / Nメチルアミノ酸 / デブシペプチド |
Research Abstract |
ドラスタチン15は、1989年インド洋産タツナミガイより単離・構造決定された抗腫瘍性Depsipeptideで、臨床での利用が検討されつつある化合物である。ドラスタチン15には、通常のα-アミノ酸以外にdolapyrrolidone(Dby)、2-hydroxyisovaleric acid(Hiva)、dolavaline(Dov,N-dimethyl valine)が含まれており、通常の固相ペプチド合成法では本化合物を合成できない。本研究では、α,α-ジアルキルアミノ酸と同様に縮合困難とされるNメチルアミノ酸の効率的縮合へ最近我々が開発した高活性クロロイミダゾリジウム縮合剤-CIP-を適用し、ドラスタチン15の効率的合成ならびに構造活性相関研究を行うことを目的とした。 このため、平成10年度にはドラスタチン15の効率的合成法の確立を行なった。すなわち、分子全体を、ぺプチド部と非ペプチド部の2つに大きく分け、両者をラセミ化の危険のないPro残基間でCIP試薬を用いて縮合することにより、一挙にドラスタチン15を得ることとした。 i) ペプチド部の合成;合成に先立ち、モデルペプチドを用いて反応条件の確立を行なった。ついで、クロロトリチル樹脂担体にドラスタチン15ペプチド部の各構成アミノ酸をCIP法により順次縮合させ、最後に、酢酸で樹脂からのペプチド鎖の切断を行ない、目的とするペプチド部を効率良く得ることができた。 ii) 非ペプチド部の合成;まず、HivaとPhe-OBzlをCIP法で縮合後、水酸基の保護とカルボキシル基の脱保護を行なった。ついで、Meldrumエステルとの縮合を同様にCIP法で行ない、得られる縮合体を単離することなく環化させ、最後に、CIP試薬を用いるエステル化反応により、Boc-Pro-OHとの縮合を行なった。本合成により、非ペプチド部の合成ルートの確立ができた。 iii) ドラスタチン15の合筬;i)とii)で得られた両成分の縮合をCIP/HOAt法により行るう予備的縮合実験により目的物の生成の確認ができた。この一段階縮合反応は、ドラスタチン15の構造決定を行なったPettitらが当初試みた合成経路であるが、縮合効率が上がらなかったため1994年の合成報告では断念した方法である。
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[Publications] Kenichi Akaji: "Efficient Synthesis of Peptaibol Using a Chloro Imidazolidium Coupling Reagent,CIP" Tetrahedron. 53. 567-584 (1997)
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[Publications] Naoshiro Kuriyama: "Convergent Synthesis of (-) Mirabazole B Using a Chloro Imidazolidium Coupling Reagent,CIP" Tetrahedron. 53. 8323-8334 (1997)