1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672017
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
池川 繁男 東北大学, 薬学部, 助教授 (90111301)
|
Keywords | 胆汁酸 / エステルグルクロニド / MALDI / TOFMS / 蛋白付加体 / リゾチーム |
Research Abstract |
胆汁酸のグルクロン酸抱合体は、硫酸抱合体とともに重要な代謝物であり、肝胆道疾患と密接に関連している。最近我々は、遊離型胆汁酸を肝ホモジネートとインキュベートするとき、24位カルボキシル基を介したエステルグルクロニドが優先的に生成することを見い出した。本グルクロニドは、一種の活性エステルであり、アミノ基と容易に反応し蛋白と不可逆的に結合する時、胆汁うっ滞等の肝毒性を喚起することが予想される。そこで、胆汁酸エステルグルクロニドが蛋白付加体を生成する全駆物質であるというニューコンセプトにたち、以下の検討を行った。まず、ベンジル基で保護した糖供与体を用い、胆汁酸の24位カルボキシル基にグルクロン酸を導入したエステルグルクロニド標品5種をトリフェニルホスフィンとジエチルアゾジカルボキシレートを用いる光延反応によって合成した。ついで、LC/ESI-MSにおける負イオンの効率的な生成条件に吟味を加え、検出感度1pmolという高感度一斉分析法を構築するとともに、本法を尿試料に適用し、健常人ではリトコール酸(LCA)24-G、ケノデオキシコール酸24-G及びデオキシコール酸24-Gの存在することを実証した。引き続き、これらの知見を下にモデル蛋白として卵白リゾチームを取り上げ、生理的条件下リトコール酸24-Gと反応させ、生成する付加体の構造をMALDI-TOF/MSにより解析した。その結果、時間の経過とともにm/z14665及び14840にピークが出現し、リゾチームとの質量差から前者はLCAの24位カルボキシル基を介して直接、一方後者は、アシル転移を伴うグルクロン酸を介した付加体であることが推測された。引き続き、生成物をジチオスレイトールで還元後、さらにリシルエンドペプチダーゼで消化して得られるペプチド混合物をMALDI-TOF/MSで測定し、ペプチドマッピングを行った。その結果、アミノ酸配列KVFGRCELAAAMK(LYS^1からLys^<13>)のLYS^1にLCAがグルクロン酸を介して結合していることが明らかとなった。これらの成果は、胆汁うっ滞の病因の解明、病態解析の手掛りの一つとして大きく期待される。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Shigeo Ikegaw: "Enantioselective immunoaffinity extraction for simultaneous deterrnination of optically active bufuralol and its metabolites in human plasma by HPLC" J.Pharm.Biomed.Anal.17. 1-9 (1998)
-
[Publications] Shigeo Ikegaw: "Separatory determination of diastereomeric ibuprofen glucuronides in human urine by liquid chromatography / electrospray ionization-mass spectrometry" Biomed.Chromatogr.12. 1-5 (1998)
-
[Publications] Shigeo Ikegaw: "Synthesis of bile acid 24-acyl glucuronides" Steroids. 63. 180-185 (1998)
-
[Publications] Shigeo Ikegaw: "Separation and characterization of carboxyl-linked glucuronides of bile acids in incubation mixture of rat liver microsomes" Steroids. 63. 186-192 (1998)
-
[Publications] Shigeo Ikegaw: "Substrate specificity of THCA-CoA oxidases from rat liverr light mitochondrial fractions on dehydrogenation of 3α,7α,12α-trihydroxy-5β-cholestanoic acid CoA thioester" Steroids. 63. 603-607 (1998)
-
[Publications] Shigeo Ikegaw: "Characterization of cholyl-adenylate in rat liver microsome by liquid chromatography / electrospray ionization-mass spectrometry" Anal.Biochem.266. 125-132 (1999)