1998 Fiscal Year Annual Research Report
高選択的発光誘導体化検出による生理活性ペプチドの微量探索
Project/Area Number |
10672020
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
甲斐 雅亮 長崎大学, 薬学部, 教授 (00160953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 和子 長崎大学, 薬学部, 助手 (20039647)
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Keywords | ペプチド / 特異的検出 / クロマトグラフィー / 化学発光法 / 高感度 / 探索 / 誘導体化反応 / トリプトファン |
Research Abstract |
生体内生理活性ペプチドの探索を指向して,本研究では,まず,N末端のトリプトファン(Trp)含有ペプチド群のみを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分離同定できる新規化学発光誘導体化検出法を以下のように開発した。 1. 申請者らは,グリオキサール(GO)が弱酸性水溶液中でN末端Trp含有ペプチドと加熱(20分間)すると蛍光体を形成することを既に見い出している。そこで,この反応液を逆相HPLCによって分離したところ,蛍光体とは別の化学発光物質の生成が認められた。それはH_2O_2酸化によって発光するので,この誘導体化反応及び化学発光反応の最適条件を検討した。その結果,化学発光誘導体化反応は,pH4の弱酸性溶液中80℃で5分間の加熱により速やかに進行し,この反応液をH_2O_2存在下pH13-13.2のアルカリ性溶液にすると酸化反応が生じ強く化学発光することが分かった。 2. GO試薬はそれ自身蛍光を発せず,かつ化学発光物質でもない。従って,HPLCの検出システムには,ペプチドの回収ができるポストカラム化学発光誘導体化反応の検出システムを設計した。ペプチドピークの同定を容易にするためにUV吸収検出器と蛍光検出器もこのシステムに使用した。開発したHPLC化学発光検出システムは,UV吸収や蛍光検出法よりも100-1000倍高い感度を有し,約100fmol/注入量のN末端Trp含有ペプチド類を分離検出(S/N=3)することができた。今後,この発光体の化学構造を解明し,ペプチドの他の特異的検出法と合わせて生体内ペプチドの検索を行う予定である。
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