1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672026
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
武田 淳 帝京大学, 薬学部, 講師 (40197306)
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Keywords | ポルフィリン / 非平面性ポルフィリン / 歪み / 置換基効果 |
Research Abstract |
メソ位に2、6-ジフルオロフェニル基と2、6-ジクロロフェニル基を持つポルフィリンのβ位に順次フェニル基を導入した一連のポルフィリンの合成を行った。アリル基の数が4、6、8(2つの異性体が存在する)、10、12個のポルフィリンをそれぞれTXPP、HXPP、trans-OXPP、cis-OXPP、DecXPP、DXPP(X=ForCl)と呼ぶことにする。これらのポルフィリンはピロールおよびジフェニルピロールと2、6-ジフルオロベンズアルデヒドまたは2、6-ジクロロベンズアルデヒドとの混合縮合により合成し、それぞれ6種のポルフィリンの混合物をカラムクロマトグラフィーにより分離・精製を行う。 X=Fのものについては6種すべて純粋なポルフィリンの単離に成功しNMR、紫外可視スペクトル等の測定を行ったことを昨年度報告した。本年度はX=Clのものについて6種すべて純粋なポルフィリンの単離に成功しNMR、紫外可視スペクトル等の測定を行った。 紫外可視スペクトルの測定から、X=FとX=Clではフェニル基の増加に伴うソーレー帯の長波長側へのシフトの度合いが明らかに異なっていた。これはポルフィリン環の歪みの程度が両者で異なっていることによると考えられる。X=Fではフッ素原子の孤立電子対とポルフィリンπ軌道の相互作用がポルフィリン環の歪みを減少させている可能性がある。 酸塩基化学的性質からポルフィリン環とメソフェニル基の共役がポルフィリン環の歪みと密接に関係していることが推測される。またTXPP(X=FとX=Cl)でモノカチオン状態が非常に安定であることが判明した。
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