2000 Fiscal Year Annual Research Report
ニトロシルヘム錯体。ESRスペクトルのシミュレーションと運動状態の研究
Project/Area Number |
10672027
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
佐藤 三男 帝京大学, 薬学部, 教授 (70101714)
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Keywords | ニトロシルヘム錯体 / ESRスペクトルの温度変化 / NO軸配位子の分子内回転 / ^<57>Feによる超微細分裂 |
Research Abstract |
1.^<57>Fe(I=1/2)および^<15>N(I=1/2)の同位体により濃縮された4種類の5配位型ニトロシルヘム錯体、^<56>Fe(TMP)^<14>NO,^<56>Fe(TMP)^<15>NO,^<57>Fe(TMP)^<14>NO,^<57>Fe(TMP)^<15>NOを調製し、そのトルエン溶液のESRスペクトルを広い温度範囲(15〜380K)で測定した。ただし、TMP=テトラメシチルポルフィリンである。 2.ESRスペクトルは、低温域における斜方対称型から中間温度域における軸対称型を経て高温域における等方型へと大きな温度変化を示した。 3.^<57>Feによる超微細分裂定数(10^<-4>cm^<-1>を単位として)は、斜方対称型スペクトルから|A_1|=11.3,|A_2|=9.5,|A_3|=6.6が、軸対称型スペクトルから|A_⊥|=9.5が、また、等方型スペクトルからは|a_0|=5.2がそれぞれ求められた。超微細分裂定数の符号はA_3はプラスであり、他はマイナスであることが推定された。 4.錯体分子全体の回転運動(R_1)とNO軸配位子の分子内回転運動(R_2)の両者を考慮したシミュレーションから、高温域ではR_1とR_2がともに速く、R_1は温度が下降するにしたがい遅くなり、200K付近で凍結する。R_2は120K付近で遅くなるが、40Kぐらいまでは認められる。 5.等方型スペクトルの線幅は、高温域ではR_1の増大に伴うスピンー回転緩和の増大によるが、低温域ではR_1の減少に伴うgおよびhfの異方性の寄与として理解される。
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Research Products
(1 results)