1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672031
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
根屋 三郎 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (10156169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟崎 紀昭 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (20065915)
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Keywords | 酵素結合たんぱく質 / ミオグロビン / ポルフィリン / コルフィセン / 有機合成 / 人工ミオグロビン / 酸素 / 一酸化炭素結合 |
Research Abstract |
筋肉にある酸素結合たんぱく質であるミオグロビンはポルフィリンとよばれる補欠分子族をもつ。ポルフィリンはピロール4分子がメソ位炭素4原子で結ばれた対称性のよい分子構造をしている。ポルフィリンの4つのピロール分子を並べ替えるとミオグロビンの酸素結合能力にどのような影響がでるかは興味ぶかい問題である。そこで申請者はポルフィリンのピロール配列を組替えたコルフィセンとよばれる新しい構造異性体に着目した。しかし、必要な原料が入手しにくく、しかもきわめて厳密に制御された反応条件が要求されるため、コルフィセンの合成は難度の高いものであった。申請者は反応条件の詳細な検討から、容易に入手できるジピロールエタンを利用することをみつけた。また、銅(II)イオンをつかえば前駆体物質をコルフィセンへと容易に環化できることも判明した。このふたつの改良により、従来は3日かかっていた反応を1時間に短縮できた。しかも、反応の収率は20%と従来法の10倍あまりも向上した。 そこでコルフィセンを大量合成して、ヘムたんぱく質の補欠分子として利用した。奇妙な分子形をもつにもかかわらず、コルフィセン鉄錯体はアポミオグロビンと安定な複合体をつくると判明した。こうして合成した人工ミオグロビンには、酸素や一酸化炭素などを結合する能力があることが明らかになった。しかし、精密な酸素平衡曲線を解析すると、人工ミオグロビンの酸素結合能力は天然ミオグロビンの1/70に落ち込んでいた。反応速度論解析からは一酸化炭素結合能力が1/470も減少すると判明した。この結果は、コルフィセンがたんぱく質補欠分子として利用できることを示しただけではなく、コルフィセンの中心にある鉄イオンと酸素や一酸化炭素のπ結合性が弱まっていることをはじめて例証するものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Neya, N.Funasaki, N.Igarashi, A.Ikezaki, T.Sato, K.Imai, N.Tanaka: "Structure and function of 6,7-dicarboxyheme-substituted myoglobin." Biochemistry. 37,5. 5487-5549 (1998)
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[Publications] S.Ishikawa, S.Naya, N.Funasaki: "Conformation dependent binding of diheptanoylphosphatudylcholine by cyclodextrins as Revealed by proton nuclear magnetic resonance." J.Phys.Chem.102,8. 2502-2510 (1998)
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[Publications] S.Neya, K.Nishianga, K.Ohyama, N.Funasaki: "Synthesis of functionalized corrphycene by copper (II) -promoted cyclization." Tetrahedron Lett.38,27. 4113-4116 (1998)
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[Publications] Y.Mie, K.Sonoda, S.Neya, N.Funasaki, I.Taniguchi: "Electrochemistry of myoglobins reconstituted with azahemes and mesohemes" Bioelectrochem.Bioenerg.46,1. 175-184 (1998)