1998 Fiscal Year Annual Research Report
エキシマー蛍光誘導体化法の確立と,生体ポリアミン類のHPLC超高感度定量への適用
Project/Area Number |
10672033
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山口 政俊 福岡大学, 薬学部, 教授 (50117280)
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Keywords | エキシマー蛍光 / 誘導体化 / 高速液体クロマトグラフィー / ポリアミン / 蛍光検出 |
Research Abstract |
「目的」従来の蛍光誘導体化にエキシマー蛍光現象を導入することに基づく、エキシマー蛍光誘導体化法という新規方法論を確立した。本法を、従来法では測定困難とされている生体ポリアミン類のHPLC超微量定量法に適用し、エキシマー蛍光誘導体化法の有効性を立証した。ポリアミン類のエキシマー蛍光誘導体化試薬として1-ピレン酪酸スクシンイミジルエステル(PSE)を用いた。 「実験」ポリアミン(カダベリン、プトレシン、スペルミジン、スペルミンなど)標準水溶液50μLに、PSEのジメチルスルホキシド溶液50μLを添加し、50℃で60分間加熱する。この反応液を逆相系HPLCに注入(20μL)し、ポリアミン類を分離し、エキシマー蛍光(ex.350nm;em.470nm)検出する。 「結果」本法の検出限度はすべてのポリアミン類について、10-50fmol/20μL(注入量)であり、従来法より高感度であった。また、検量線は注入量当たり、少なくとも10nmolまで良好な直線性(r>0.999)を示した。本法により、過剰に添加された試薬あるいは生体に多く存在するモノアミン類からの蛍光(モノマー蛍光)に妨害を受けることなく、選択的にポリアミン類の高感度HPLC定量が可能となった。現在、生体実試料(ヒト血液や尿)中のポリアミン定量に適用中である。また、生じた誘導体はポリアミンに2個のピレン環が導入されたものであることを、LC-MSにより確認した。本法は、エキシマー現象を蛍光誘導体化に適用した初めての方法論で、同一分子内に複数個の官能器を有する化合物の高選択・高感度分析に極めて有効である。
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