1999 Fiscal Year Annual Research Report
エキシマー蛍光誘導体化法の確立と、生体ポリアミン類のHPLC超高感度定量への応用
Project/Area Number |
10672033
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
山口 政俊 福岡大学, 薬物部, 教授 (50117280)
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Keywords | エキシマー蛍光 / 誘導体化 / 高速液体クロマトグラフィー / ポリアミン / 蛍光検出 |
Research Abstract |
平成10年度に設定した、ポリアミン類の基本的なHPLC・エキシマー蛍光検出法の有効性を実証するために次の実験を行った。 (1)血液あるいは尿中ポリアミン類計測への適用:血液あるいは尿に、ピレン試薬(PSA)のDMSO溶液を添加し、50℃、60分間加温する。反応液をアセトニトリルで100倍希釈し、通常の蛍光分光光度計でエキシマー蛍光(Ex.370nm;Em.479nm)を観測する。また、反応液の一部を逆相HPLC に付し、ポリアミンを分離定量する。 (2)癌診断への有用性の検討:癌患者の血液あるいは尿中ポリアミンを、上記操作法で計測した。血液、尿いずれの場合も、健常者に比べ、癌患者で有意に高値を示すことを確認した。本法は、操作が極めて簡便で、癌診断のマススクリーニングに適していた。 (3)蛍光生成物の構造及びそのエキシマー蛍光特性:ポリアミンの数種を代表に、それらの反応生成物を単離し、NMR、MSなどで構造を決定した。また、LC-MSにより、他のポリアミン類についてもそれらの構造を明かにした。また、反応生成物のエキシマー蛍光特性について、各種の溶媒中における蛍光波長、蛍光寿命などを測定した。 (4)新規エキシマー蛍光誘導体化試薬の合成と応用:PSA のスペーサーの数やアミノ基に反応する官能基を変化させた種々の新規エキシマー蛍光誘導体化試薬を合成した。また、合成した試薬類を、分子内のアミノ基の位置との相関を調べることにより、試薬の特異性について調べた。 (5) 医薬品分析への適用:血液中トリエンチン(銅代謝異常症患者に対する医薬品)に本法を適用し、簡便かつ迅速な同定量法を確立した。
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