1999 Fiscal Year Annual Research Report
生体計測ESR法におけるスピンクリアランスの機構解明
Project/Area Number |
10672035
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
安西 和紀 放射線医学総合研究所, 第1研究グループ, 研究員 (70128643)
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Keywords | methoxycarbonyl-PROXYL / 全身オートラジオグラフィー / 神経毒性 / 放射線防護作用 |
Research Abstract |
合成した[^<14>C]スピンプローブをマウスに投与して一定時間ごとの全身オートラジオグラフィーを行うことにより、スピンプローブの体内分布に関する情報を得た。その結果、[^<14>C]methoxycarbonyl-PROXYLは肝臓に最も多量に分布していた。脳への分布は多いものの肝臓に比べると低かった。 Methoxycarbonyl-PROXYLの薬理作用および放射線防護作用について調べた。多量に投与した場合、マウス脳へ移行したmethoxycarbonyl-PROXYLは急性の神経障害を引き起こした。マウスは一過的な興奮状態および酩酊状態のあと沈静化し、多量に投与した場合はそのまま死亡した。腹腔内投与のLD50は、およそ600mg/kgと推定された。CH3マウス(10週齢、雄)にmethoxycarbonyl-PROXYLを腹腔内投与して5〜10分後にγ線を8.7Gy全身照射することにより放射線防護作用を検討した。この線量は致死線量であり、コントロールとして生理食塩水を投与した場合は30日以内に100%死亡した。一方、600mg/kgを投与して急性毒性による死を免れたマウスについては、8.7Gyのγ線全身照射でも生き残ったものが20%存在した。また、死亡したものについても延命効果が認められた。この結果は、methoxycarbonyl-PROXYLに放射線防護作用があることを示している。この作用は、methoxycarbonyl-PROXYLと放射線により生じたラジカルの相互作用による可能性がある。すなわち、in vivo ESRで観察されるスピンクリアランスの原因の一つとしてスピンプローブと体内で生じるラジカルの相互作用があることが予想される。
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