1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672041
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 聡城郎 岡山大学, 薬学部, 教授 (10025710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河原 賢一 岡山大学, 薬学部, 助手 (30291470)
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Keywords | ヒト口腔粘膜上皮細胞 / D-グルコース / トランスポータ / 能動輸送 / 促進拡散 |
Research Abstract |
口腔粘膜において特殊輸送機構で吸収される物質について、重層扁平上皮での特殊輸送系の特性を明らかにすることを目的として、本年度は口腔粘膜を構成する上皮細胞によるD-glucoseの取り込み機構に検討を加えた。 ヒト舌背および頬粘膜から単離した細胞へのD-glucoseの取り込みを検討したところ、L-glucoseに比較して著しく大きく、また頬細胞より舌背細胞の方が大きいことが明らかになり、ヒト口腔内各部位にセルを装着して行った還流実験の結果と一致した。速度論的解析の結果、見掛けのKmに違いはないが、Vmaxに差が認められ、舌背細胞の方に細胞あたりのトランスポータ発現量が多いことが示唆された。D-Glucose輸送に関与するトランスポータの性質を明らかにするために、Na^+依存性や各種輸送阻害剤の影響を検討した結果、輸送の一部にのみNa^+依存性およびphlorizinによる阻害が認められ、SGLT1による能動輸送系のほかに促進拡散輸送系の関与が示唆された。口腔粘膜上皮細胞に発現している促進拡散トランスポータの分子種を明らかにするために、促進拡散で輸送される2.deoxy-D-glucoseの取り込みに及ぼす各トランスポータ分子種に特異的な基質糖の影響を検討した結果、GLUT1〜3の発現が示唆された。これはウエスタン・プロットにより裏付けられた。 ヒト舌癌由来SCCKN細胞についても同様にD-glucoseの輸送に関与するトランスポータの解析を行ったところ、SGLT1の発現は認められず、促進拡散トランスポータについてもGLUT1およびGLUT3の発現は認められたが、GLUT2は認められないなど正常細胞と異なることが明らかになった。 現在、ヒト口腔細胞を重層に培養する方法を検討しており、平成11年度は重層状態でのD-glucose輸送機構の解析を行う予定である。
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