1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672041
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
木村 聡城郎 岡山大学, 薬学部, 教授 (10025710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河原 賢一 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (30291470)
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Keywords | ヒト口腔粘膜上皮細胞 / D-グルコース / ジペプチド / 培養重層細胞 / トランスポータ |
Research Abstract |
口腔粘膜での特殊輸送系の特性を明らかにすることを目的として、まず、ペプチド輸送機構に検討を加えた。ヒト舌背及び頬粘膜から単離した上皮細胞へのジペプチドglycylsarcosineの取り込みを検討したところ、高濃度で取り込み速度が飽和する傾向が認められ、ペプチドトランスポータによる輸送が明らかにされているβ-ラクタム抗生物質により取り込みが阻害されたことから、口腔粘膜上皮細胞にペプチドトランスポータが発現していることが示唆された。しかし、その取り込みのpH依存性を検討した結果、プロトンとの共輸送が認められず、促進拡散輸送系の寄与が大きいことが示唆された。 口腔粘膜は単層上皮である胃腸管と異なり重層上皮であるため、上皮細胞に存在する特殊輸送系が重層の場合にどのように働くかは全く不明である。前年度、ヒト舌背及び頬粘膜から単離した上皮細胞について、D-glucoseの輸送特性を解析したので、本年度は重層を成す上皮細胞ではD-glucoseの特殊輸送系(能動輪送トランスポータと促進拡散トランスポータ)がそれぞれどのように働くかを明らかにすることを目的として、重層を形成する培養細胞系を用いて検討を行った。 はじめに、ヒト口腔の手術時に摘出した組織から上皮細胞を単離して、その重層を形成する培養法の検討を行った。本実験は岡山大学歯学部倫理委員会において認められたもので、患者の承認を得た組織を使用した。種々の検討の結果、培養細胞に重層を形成させることに成功した。つぎに、多孔性フィルター上に重層を形成した培養細胞系を用いて、D-glucoseの透過速度を測定したところ、L-glucoseに比較して著しく大きいことが認められ、D-glucose輸送系が上皮細胞の生存のために細胞内への取り込みに機能しているのみならず、重層を形成した細胞層の透過にも役割を果たしていることを明らかにすることができた。
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