1999 Fiscal Year Annual Research Report
電位依存性一過性Kチャネルのアラキドン酸感受性と遺伝子解析
Project/Area Number |
10672049
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
今泉 祐治 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (60117794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢 進 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (70275147)
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Keywords | 早期不活性化A型Kチャネル / Kv4.3 / ホールセルクランプ法 / HEK293 / ラット / 平滑筋細胞 / アラキドン酸 |
Research Abstract |
早期不活性化A型Kチャネルは興奮性細胞において活動電位の発生タイミング調節、発生頻度調節、早期再分極相形成などの重要な役割を演じている。ラット各種平滑筋細胞に発現しているA型Kチャネルは主にKv4.3であり、特に既知の脳由来Kv4.3(Kv4.3M)のC末端領域に19アミノ酸が挿入された新規遺伝子多形(Kv4.3L)が主要であること、心筋のA型KチャネルはKv4.2と4.3の混合であるが、そのKv4.3もKv4.3Lが主要であることが示された。また、脳においてはKv4.3M mRNAが圧倒的に高発現であるが、海馬にはKv4.3Lが高発現していることが明かとなった。さらに電気生理学的にクローンKチャネル電流とA型K電流を比較するため、HEK293細胞に形質導入し、その巨視的電流を測定した。ラット精管平滑筋細胞からA型K電流を記録し、クローンKv4.2,4.3M,4.3L電流と定量的に比較検討した。その結果、これらのクローンKチャネル電流は精管A型電流と類似したキネティクスを示したが、活性化・不活性化電位や不活性化からの回復の時間依存性などの細部では有意に異なっていた。特に不活性化からの回復は精管A型K電流において明らかに早かった。アラキドン酸に対する感受性には両者で差が見られなかった。キネティクスの違いは細胞骨格とKチャネルの関係が平滑筋細胞と強発現HEK細胞で異なるためではないことが示唆された。βサブユニットあるいは細胞内制御因子の存在を考えるべきであると思われる。Kv4.3MとKv4.3L電流の間には、少なくともホールセルクランプ法で観察する限り、電気生理学的に明かな差はなかったため、Kv4.3LのC末端細胞内領域の末端167アミノ酸を除去した変異体を作成したが、不活性化からの回復は若干遅延したもののそれ以外のキネティクスは変化しなかった。
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