1998 Fiscal Year Annual Research Report
超大被写界深度デジタルマイクロスコープを用いた網膜血管系反応性の解析
Project/Area Number |
10672051
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
石井 邦雄 北里大学, 薬学部, 教授 (90137993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 努 北里大学, 薬学部, 助手 (10296519)
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Keywords | ラット / 網膜中心動脈 / 網膜中心静脈 / デジタル・マイクロスコープ / 眼底カメラ / 血管径 / Ca^<2+>拮抗薬 / 中枢血管 |
Research Abstract |
網膜中心動静脈系は体外から直接目視できる唯一の中枢血管であり、手術などによる侵襲を伴うことなく生理的実験条件下で薬物に対する反応を観察することができる。今回、性質の異なる3種Ca^<2+>拮抗薬を用いて、この血管系の薬理学的特性を明らかにすることを目的に検討を行った。 【方法】実験にはWistar系雄性ラットを用いた。ウレタン(600mg/kg,i.p.)麻酔下に大腿動脈にポリエチレン製カニューレを挿入し、全身血圧と心拍数を測定した。CCDを装備した小動物用眼底カメラ(スカラー社製)を介して得た網膜の血管像をビデオ・モニター上で観察しつつ、薬物を静脈内に投与し、それによりもたらされる血管の反応を連続的にデジタル・ビデオテープに録画した。取得した映像をフレーム毎にパーソナル・コンピュータに取り込み、画像処理を施した後、動静脈径の変化を測定した。 【結果】脳血管に選択性の高いニカルジピン(1〜30μg/kg,i.v.)を投与したところ、用量依存的な全身血圧の低下とともに、網膜中心動静脈径の拡大が観察された。脳循環改善薬として用いられているフルナリジン(1〜30μg/kg,i.v.)の場合は、全身血圧に顕著な変化は認められず、専ら網膜血管径の拡大のみが観察された。主として末梢細動脈に作用するニフェジピン(10〜300μg/kg,i.v.)は、用量依存的に全身血圧を下降させたものの、明らかな網膜血管径の変化は引き起こさなかった。 【考察】血管選択性の異なる3種Ca^<2+>拮抗薬によって得られた結果が予想通りのものであったことから、本研究法は、生理的条件下で、薬物の中枢性微小循環に対する作用を観察するうえで有用であることが示された。この方法を用いることにより、従来の方法では得ることの出来なかった新たな実験結果がもたらされる可能性が高く、将来の発展が大いに期待される。
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