2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672061
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
田代 文夫 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (70089332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 晶規 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (40260319)
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Keywords | ラットgrp75 / 小脳cDNA発現ライブラリー / NGFファミリー神経栄養因子 / PCl2細胞 / ヒートショックタンパク質 |
Research Abstract |
我々は今までに小脳mRNAを材料としてpCD-2発現ベクターを用いてcDNAライブラリーを作製し、COS-1細胞に導入して一過性に発現させ、その順化培地をPCl2細胞に添加すると交感神経様細胞に分化誘導クローン398(grp75R3)を得ている。本クローンは約1.1kbのインサート配列を有し、ヒートショクタンパク質ファミリーに属するラットgrp75のC末端領域に高い相同性を示す67アミノ酸から成るORFが存在する。平成10年度の研究においては、本grp75R3の大腸菌での大量生産システムを確立し、ポリクローナル抗体の作製に成功した。平成11年度においては、grp75R3を安定に発現するCOS-7細胞を樹立し、本因子の分化誘導能について解析を行った。その結果、COS75R3細胞の培養上清にはPCl2細胞を交感神経様細胞に分化誘導する高い活性が認められたが、grp75R3は検出されなかった。そこで本年度は、COS75R3細胞の培養上清に存在するNGFファミリーに属する神経栄養因子についてRT-PCR及び抗体を用いて解析を行った。その結果、COS-7細胞内で発現されたgrp75R3は直接PCl2細胞を分化させるのではなく、COS-7細胞内でNGF遺伝子発現を選択的に促進することによってPCl2細胞の分化を誘導していることが判明した。さらに、grp75R3と高い相同性を有し、ラット脳を含む種々の組織で発現が見られるgrp75もにも同様な作用が認められた。また、ラットグリオーマC6細胞にgrp75R3及びgrp75を導入した場合でもNGF mRNAの選択的な発現誘導が認められた。これらのデータ及びラットを絶食させると脳内でのgrp75 mRNAの発現が誘導されることより、ストレスによってグリア細胞でのgrp75の発現が促進される。その結果、NGF遺伝子の発現が上昇し、NGF応答性のコリン作動性神経細胞などの生存が維持されるものと思われる。
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