1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672070
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
大屋敷 孝雄 北陸大学, 薬学部, 教授 (00100488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 栄子 北陸大学, 薬学部, 実験助手 (20298368)
高寺 恒雄 北陸大学, 薬学部, 助教授 (90121277)
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Keywords | アルミニウム / アルミニウム毒性 / 細胞障害 / 細胞死 / 神経成長因子 |
Research Abstract |
副腎髄質褐色細胞腫由来の細胞株PCl2細胞を用いて、Alの細胞毒性について解析した。Alとしては、塩化アルミニウム(AlCl_3)及び細胞膜を容易に通過する錯体であるアルミニウム・マルトレート(Al・mal)を用いた。また、Al毒性の発現に対する神経成長因子であるNGFの影響についても検討した。その結果、PC12細胞の形態変化、成長抑制、細胞死(LDHの細胞外遊出、ミトコンドリア活性の低下、トリパンブルー染色細胞の増加)やNOFによる神経細胞様突起伸展の阻害などが高濃度のAlCl_3処理(1mM)により誘起されることが明らかにされた。しかし、細胞をAlCl_3で3日処理した後、培養液からAlCl_3を取り除き、再び培養すると元の状態に戻る傾向が現れ、AlCl_3処理でみられた上記の現象は主として細胞へのAlの結合によりひき起こされている可能性が示唆された(佐藤、高寺、大屋敷:第71回日本生化学会大会発表、1998年)。一方、Al・malを用いた場合にはAlCl_3の約1/10量(0.1mM程度)で同様の変化が誘起され、しかも培養液からAl・malを取り除いても細胞は元の状態に戻らなかった。これらの結果は、Alが細胞内に蓄積した場合には非常に低濃度で不可逆的な細胞障害を誘起することを示唆している。しかし、NGFによる突起伸展誘導能は低濃度(0.1mM)のAl・mal処理ではまだ残っており、0.3mM以上にしないと突起伸展能の阻害は観察されなかった。このことから、細胞の生存と細胞分化(突起伸展)に対するAl効果発現のメカニズムは異なっていることが示唆された。
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[Publications] Takao Ohyashiki: "A marked stimulation of Fe^<2+>-initiated lipid peroxidation in phospholipid liposomes by a lipophilic aluminum complex, aluminum acetylacetonate" Biochim.Biophys.Acta. 1389. 141-149 (1998)
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[Publications] Tsuneo Takadera: "Apoptotic cell death and CPP32-like activation induced by thapsigargin and their prevention by nerve growth factor in PC12 cells" Biochim.Biophys.Acta. 1401. 63-71 (1998)