1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10672071
|
Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
三輪 一智 名城大学, 薬学部, 教授 (60076734)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 行康 名城大学, 薬学部, 講師 (60103264)
|
Keywords | グルコキナーゼ / 肝臓グルコース代謝 / 糖尿病 / 代謝調節 / OLETFラット / GKラット |
Research Abstract |
グルコキナーゼ(GK)は,肝臓グルコース代謝の調節に関与する重要な酵素と考えられているが,その機序については不明な点が多い。私共はすでに,ラット初代培養肝細胞において,GKはグルコース濃度が上昇すると細胞核から細胞質へ移行し,低下すると細胞質から細胞核へ戻ることを示し,この現象が肝グルコース代謝調節に関与する可能性のあることを指摘した。 今回,肝臓グルコース代謝に障害のあることが知られている糖尿病状態では,GKの細胞内移行に異常があるか否かを調べた。糖尿病のなかでも圧倒的に頻度の高いインスリン非依存型(2型)糖尿病のモデルとして多用されているOtsuka Long-Evans Tokushima Fattyラット(OLETFラット)およびGoto-Kakizakiラット(GKラット)を用いて検討を行なった。 5mMグルコース(正常血糖濃度)存在下で,両ラットからの初代培養肝細胞を37℃で1時間インキュベートすると,正常ラットの場合とほぼ同様に大部分のGKが細胞核内に分布していた。また,両ラットの培養肝細胞において,GKはグルコース濃度の上昇に応じて細胞核から細胞質へ移行はしたものの,正常ラットの場合に比べると明らかに移行の程度が少なかった。また,グリコーゲン合成を促進するフルクトース(0.1mM)を5mMグルコースに共存させた場合のGKの移行程度も,両糖尿病モデルラットでは正常ラットより著明に少なかった。この結果は,糖尿病状態ではGKの細胞内移行に障害があり,それが肝臓グルコース代謝不全と関連することを強く示唆する。
|