1998 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴ脂質によるホスホリパーゼ活性の制御機構に関する研究
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10672072
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
佐藤 隆司 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (40065917)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / セラミド / ホスホリパーゼA_2 / ホスホリパーゼC / アラキドン酸 / 血小板 |
Research Abstract |
スフィンゴ脂質の刺激伝達過程への寄与を検索するため、膜透過性のC_6-セラミド(N-hexanoylsphingosine)を用い、ウサギ血小板での刺激によるホスホリパーゼ(PL)A_2活性化への影響を検索し、以下の成果を得た。 1. [^3H]アラキドン酸標識血小板にC_6-セラミドを添加し、低濃度のトロンビンで刺激すると、アラキドン酸の遊離が促進され、さらにこの促進は細胞質型PLA_2(cPLA_2)特異的阻害剤で抑制された。 2. 上記の条件下で、C_6-セラミドはcPLA_2活性を有意に上昇させ、さらにcPLA2の上流に位置し、その活性を制御しているmitogen-activated protein kinase(MAPK)の活性も有意に上昇させた。また、MAPK kinase阻害剤はC_6-セラミドによるアラキドン酸遊離の促進を抑制した。 3. MAPKカスケードの上流にはRaf-1が関与している可能性から、C_6-セラミドのRaf-1の活性化の有無を検索したが、なんの影響も見られなかった。しかし MAPKカスケードの他の上流因子としてのProtein kinase C(PKC)活性をC_6-セラミドは有意に上昇させた。しかし、ホルボールエステルによるcPLA_2の活性化には何の影響も見られなかった。 4. 上記3.の結果から、C_6-セラミドはPKCのさらに上流に影響している可能性があるので、上記1.の条件下でのPLC活性に対する影響を検索したところ、ジアシルグリセロール生成および細胞内Ca^<2+>動員を促進させた。さらにこの条件下でPLC特異的阻害剤を作用させるとアラキドン酸遊離は抑制された。 以上の結果から、C_6-セラミドは刺激下でのPLC活性の促進を引き金として、PKC-MAPK-cPLA_2の刺激伝達経路を亢進させることが明らかとなり、セラミドの刺激応答への寄与の一部を解明したものと思われる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsutomu Hashizume: "Different effects of cell-permeable ceramide analogs on platelet activation." Biochem.Mol.Biol.Int.44-3. 489-496 (1998)
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[Publications] Takashi Sato: "Stimulation by ceramide of phospholipase A_2 activation through a mechanism related to the phospholipase C-initiated signaling pathway in rabbit platelets." J.Biochem.125-1. 96-102 (1999)