1999 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴ脂質によるホスホリパーゼ活性の制御機構に関する研究
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10672072
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
佐藤 隆司 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (40065917)
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Keywords | セラミド / スフィンゴミエリナーゼ / mitogen-activated protein kinase / ホスホリパーゼA_2 / アラキドン酸 / 血小板 |
Research Abstract |
ウサギ血小板およびラット好塩基球系白血病細胞(RBL-2H3)での、刺激による細胞質型ホスホリパーゼA_2(cPLA_2)活性化へのセラミドの影響を検索し、以下の成果を得た。 1.セラミドの細胞内刺激伝達過程の促進によるcPLA_2活性化機構以外の作用として、セラミドの膜脂質層での増大による膜物性の変化の影響を検索した。血小板をU46619で刺激するとアラキドン酸の遊離はほとんど生じないが、スフィンゴミエリナーゼ処理、またはC_6-セラミド(N-hexanoylsphingosine)の添加でセラミドを増大させた血小板では、cPLA_2活性は変化はなかったが、著明なアラキドン酸の遊離が生じた。 2.上記の結果から、セラミドは細胞膜の物性変化を誘起してcPLA_2と膜との相互作用を促進する可能性があるので、この点をcPLA_2の膜画分の増大を指標に検索した。血小板をCa^<2+>イオノフォアで刺激するか、または血小板破砕液にCa^<2+>を添加すると、cPLA_2のCa^<2+>依存的な膜への移行に伴う膜画分でのcPLA_2タンパク質量の増大が見られるが、セラミドを増大させた血小板またはその破砕液では、この増大がされに促進された。 3.RBL-2H3細胞においては、C_6-セラミドは抗原刺激下でのプロスタグラジンD_2産生を抑制することから、cPLA_2活性の抑制に起因する可能性がある。そこでcPLA_2活性を制御しているmitogen-activated protein kinase(MAPK)活性への影響を検索した。その結果、セラミドはp42/p44 MAPK活性を抑制すること、さらにこの抑制はorthovanadateにより回復することから、protein tyrosine phosphataseの活性化による可能性を示唆した。以上の結果から、セラミドは細胞膜レベルと細胞内の両面で、細胞の刺激応答を制御する生理活性因子であることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takashi SATO: "Stimulation by ceramide of phospholipase A_2 activation through a mechanism related to the phospholipase C-initiated signaling pathway in rabbit platelets."J.Biochem.. 125・1. 96-102 (1999)
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[Publications] Tsutomu HASHIZUME: "Ceramide enhances susceptibility of membrane phospholipids to phospholipase A_2 through modification of lipid organization in platelet membranes."Biol.Pharm.Bull.. 22・12. 1275-1278 (1999)