1999 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛イオン依存性チロシンホスファターゼの生体内機能の解明
Project/Area Number |
10672073
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
藤本 貞毅 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (80090182)
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Keywords | チロシンホスファターゼ / 亜鉛イオン / イノシトール-1-ホスファターゼ / 脳 / 肝臓 / 生理機能 / イノシトールリン脂質代謝 / アルツハイマー |
Research Abstract |
亜鉛イオン依存性チロシンホスファターゼ(Zn^<2+>-PTPase)は、その触媒活性が完全に亜鉛イオン依存的である点が従来のPTPaseと大きく異なるところである。この酵素には主として肝臓に含まれる分子量約10万の高分子型と、脳に含まれる分子量約6万の2種類のタイプが存在し、脳型の酵素は、生理的条件下でマグネシウムイオン依存的にイノシトールモノホスファターゼ(Mg^<2+>-IMPase)活性を示すなど、特異な酵素であることを明らかにしてきた。昨年度、牛脳から精製したlMPaseが酸性条件下で亜鉛イオン依存的にPTPase活性を示すことを確認し(Gen.Pharmac.31,469-475(1998)、また、肝臓の高分子量型Zn^<2+>-PTPaseはMg^<2+>-lMPase活性を全く示さず、脳型の低分子量Zn^<2+>-PTPaseと肝臓型の高分子量Zn^<2+>-PTPaseとは酸性条件下でのZn^<2+>-PTPaseとしての性質は共通性があるものの、生理的な条件下における性質においては両者の間に明らかに違いのあることを認めた(Biol.Pharm.Bull.,21,1218-1221(1998)。さらに、アルツハイマー病脳におけるlMPaseのタンパク質レベルならびに酵素活性が対照脳に比べて有意に高いことを認めた(Neurosci.Lett.,245,159-162(1998)。今年度、Zn^<2+>-PTPaseの生体内基質の検素ならびに、脳内の低分子量チロシンホスファターゼに関して新たに次の知見を得た。 (l)脳における低分子量型PTPaseは、従来、細胞質にのみ存在する酵素であるとされてきたが、今回、細胞質のみならず、神経終末画分にも多量含まれていることを初めて確認した(Biol.Pharm.Bull.,22,794-798(1999)。 (2)ウシ脳Mg^<2+>-lMPaseのチロシンホスファターゼ活性に対する内在性基質が神経細胞の可溶性画分に存在することを認め(第49回日本薬学会近畿支部大会,1999.10.)、現在、本タンパク質の分離、同定中である。
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