1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規薬物送達法に関する研究 : 毛嚢を用いる薬物送達
Project/Area Number |
10672076
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
小木曽 太郎 近畿大学, 薬学部, 教授 (60082971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷野 公俊 近畿大学, 薬学部, 助手 (90236703)
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / ヒト頭皮吸収 / 毛嚢吸収 / 吸収促進 |
Research Abstract |
ドラッグデリバリーシステムの一分野である経皮吸収製剤は多くの利点を有するので、薬物治療に用いられているが、経皮吸収量が少ないことからそれに適用できる薬物は限られている。薬物は毛嚢を速やかに透過できるので、頭皮を吸収経路として利用すれば、かなりの量の薬物を経皮吸収させることが可能となり、新しい投与ルートとして期待できる。この観点からヒト頭皮吸収をin vitroで検討した。初めに松果体ホルモン、メラトニンの頭皮吸収を調べた。また頭皮とヒト腹部皮膚の透過の比較も行った。メラトニン3%含有のエタノール/プロピレングリコール混液(Rp.1)とそれにd-リモネンを4%添加した(Rp.2)両液からのメラトニンの頭皮吸収を測定した。Rp.1のメラト二ンはヒト頭皮がら比較的速やかに(lag timeは5-8h、ヒト腹部皮膚透過のlag timeは24-30h)吸収された。頭皮吸収はヒト腹部皮膚からの透過より速く、透過速度(Js)は腹部皮膚のそれの1.6-15倍であったが、用いた頭皮によって透過速度に大きな差が認められた。吸収促進剤のd-リモネシを配合するとJsは2倍以上に増加した。上述のようにヒト頭皮の透過速度は用いた頭皮の間でかなり変動が見られたので、その原因を知るため、毛嚢数を測定したところ、Jsと毛嚢数の間に良好な相関(r=0.82)が認められた。従って毛嚢数の少ないヒト頭皮では吸収される量が少なくなると判断される。現在5-フルオロウラシルの頭皮吸収を測定しているが、メラトニンと同様に頭皮から吸収されることを確認している。 今後の計画として、リポソーム化した薬物(生理活性ペプチドを含む)について頭皮吸収をヒト皮膚と比較する。また毛嚢内薬物透過とその量を蛍光顕微鏡を用いて観察する。さらに薬物透過と基剤の関係についても検討する。
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