1999 Fiscal Year Annual Research Report
グリコシルホスファチジルイノシトールアンカー蛋白質の細胞増殖及び分化における役割
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10672080
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
中林 利克 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (30128665)
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Keywords | TBR 31-2細胞 / 増殖と分化 / 骨芽細胞 / 脂肪細胞 / 転写因子 / 分化マーカー / GPI・アンカー蛋白質 |
Research Abstract |
(1)TBR 31-2細胞の持つ分化能 TBR 31-2細胞について骨芽細胞としての性質を確認する目的で、骨芽細胞への分化の鍵となる転写因子Cbfa1の発現をRT-PCR法により解析した結果、増殖時期に比較して分化時期にはm-RNAレベルが有為に増加していることが確認された。以前報告した骨型アルカリ性ホスファターゼ、I型コラーゲン、オステオカルシンなどの分化マーカーのm-RNAレベルがそれぞれ有為に増加していることを考慮すると、TBR 31-2細胞は骨芽細胞であると判断できる。また、脂肪細胞への分化を行なう転写因子PPARγや分化マーカーのリポプロテインリパーゼとアジプシンのm-RNAレベルの増加が観察された。以上の結果よりTBR 31-2は骨芽細胞へも脂肪細胞へも分化しうる可能性があるバイポテントな細胞であることが判明した。 (2)GPI-アンカー蛋白質の分離精製とその同定 GPI-アンカー蛋白質の全細胞蛋白質に占める割合は少なく、通常の方法では検出するのが困難である。そこで、蛋白質の構造解析のため分化時期のTBR 31-2細胞を大量に培養し、GPI-アンカー蛋白質をはじめとする膜表在性蛋白質をビオチン化後PI-PLC処理する。遊離したGPI-アンカー蛋白質をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離しニトロセルロース膜にブロッティング後アビジンーペルオキシダーゼを用いた化学発光反応により解析した。その結果、TBR 31-2細胞からPI-PLC処理により特異的に可溶化されるGPI-アンカー蛋白質が少なくとも4種類存在することが確認された。次にこの蛋白質についてFPLC装置を用いて分離精製後、TOFMSによる質量分析、蛋白質のアミノ酸組成やペプチド断片の配列の決定を行っている。
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