1998 Fiscal Year Annual Research Report
モルヒネ耐性・依存性形成への中枢オピオイド系、アデノシン系並びに副腎皮質系の関連
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10672082
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
塩見 浩人 福山大学, 薬学部, 教授 (60025715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 豊 福山大学, 薬学部, 講師 (30217202)
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Keywords | モルヒネ耐性 / モルヒネ依存性 / アデノシン / アデノシンA1受容体 / β-エンドルフィン / N-アセチル-β-エンドルフィン / 疼痛抑制系 / 疼痛促通系 |
Research Abstract |
Morphine連続投与による耐性は、脳室内に投与したadenosine Al受容体拮抗薬で有意に抑制された。また、抗N-acetyl-β-endorphin抗体の側脳室投与によっても有意に抑制された。正常ラットに脳室内急性投与したmorphineの鎮痛作用は、併用投与したN-acetyl-β-endorphinによって抑制されるが、このN-acctyl-β-endorphinによるmorphine鎮痛抑制作用は、adenosine A1受容体拮抗薬を処置することにより有意に抑制された。一方、morphine連続投与時にadenosine deami-nase阻害薬を併用連続投与するとmorphine耐性形成が有意に促進され、adenosine A1受容体拮抗薬を併用連続投与すると有意に遅延した。これらの結果から、morphine耐性形成機構として、中枢β-endorphinの代謝変化に伴うN-acetyl-β-cndorphinの増加を介する脳内adenosine系の活性化が関与し、adenosineがA1受容体を介しmorphineの鎮痛作用を抑制していることを強く示唆している。従来morphineの耐性形成機構としてopioid受容体以降の細胞内情報伝達機構の変化として考えられていた。しかし、我々が明らかにした知見は、耐性形成時にもopioid受容体以降の細胞内情報伝達系は正常に機能しており、oipioid系を介する疼痛制御機構に対する抑制機構(疼痛促通系)が活性化されることを示しており、疼痛促通系を活性化させる内因性物質としてadenosineが重要な役割を担っていることを示している。morphine依存性獲得ラットの側脳室投与したad-enosine作用薬はnaloxone誘発退薬症状を有意に抑制した。次年度は、morphine依存性抑制作用機構について追究する。
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Research Products
(1 results)