1999 Fiscal Year Annual Research Report
消化管吸収抑制機構の基質認識特性とその発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
10672091
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
斎藤 浩司 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (30285522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 雅子 北海道医療大学, 薬学部, 助手 (60204210)
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Keywords | 吸収抑制 / 消化管分泌機構 / P-糖たん白 |
Research Abstract |
ラット小腸、Caco-2細胞を用いた透過実験並びに吸収実験から、本研究課題について以下の新知見を得た。 P-糖たん白の基質認識機構 P-糖たん白が分子構造的に関連性のない種々の薬物をその基質として輸送することは従来より知られているが,どのような機序によりP-糖たん白がそれらを認識するのかについてはこれまでほとんど不明であった。我々はラット小腸ループ法による検討において、十二指腸部、回腸部から吸収されたトリチウム標識ビンブラスチンが空腸部に分泌されてくることをまず見出した。興味深いことに、この分泌は空腸部ループに非標識ビンブラスチンが予め存在する場合に促進されることが確認された。透過性フィルター上に単層培養したCaco-2細胞を用い、頂側膜側メディウム中に種々のP-糖たん白基質を添加して側底膜側から頂側膜側へのトリチウム標識ビンブラスチンの透過に対する影響を検討した結果、非標識ビンブラスチンのみがトリチウム標識ビンブラスチンの透過を促進し、ドキソルビシン、メチルプレドニゾロン、ビンクリスチンではそのような効果は認められなかった。これらの結果から、上皮細胞表面に同一の基質が存在することによりP-糖たん白が介在した上皮細胞内から消化管腔への汲み出しが促進されることが示唆された。すなわちP-糖たん白の基質認識は、細胞表面での基質との相互作用によって行われている可能性が強く示唆された。 ラット小腸とCaco-2細胞における分泌機構の異同性 ラット小腸において、硫酸アルベカシンやゲンタマイシンなどのアミノグリコシド系抗生物質の難吸収性には共通のエネルギー依存的な分泌機構が関与していることが示唆された。しかしながらこの分泌機構は、Caco-2細胞膜上には発現していないことが示され、先に報告したβ-ラクタム系抗生物質に対する分泌機構と併せて、ラット小腸上皮とCaco-2細胞膜に発現する分泌機構は必ずしも同一でないことが示唆された
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[Publications] 新敷祐士,斎藤浩司 ら: "ラットにおける塩酸バンコマイシンの難吸収に関与する要因の検討"薬剤学. 59(3). 103-112 (1999)
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[Publications] Akira Nakayama et al: "Different absorption behaviors among steroid hormones due to possible interacion with p-glycoprotein"Biological & Pharmaceutical Bulletin. 22(5). 535-538 (1999)
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[Publications] Masafumi sasaya et.al: "steleoselective permeation behaviors of the new fluorinated quinolone derivatives across LLC-PK^1 cell."Biological &Pharmaceutical Bulletin. 22(7). 707-712 (1999)
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[Publications] Hiroshi saitoh & Bruce Aungst: "Improvement of the intestinal absorption of a peptidomimetic,boronic acid thrombin inhibitor possibly utilizing the oligopeptide transporter."Pharmaceutical Research. 16(11). 1786-1789 (1999)