1999 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素をプローブとして利用するビタミンEの生体膜中での挙動の研究
Project/Area Number |
10672098
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
熊懐 稜丸 摂南大学, 薬学部, 教授 (20057326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
表 雅章 摂南大学, 薬学部, 助手 (90299032)
安藤 章 摂南大学, 薬学部, 講師 (20138960)
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Keywords | ビタミンE / フッ素 / リポソーム / ^<19>F-NMR / 緩和時間 / 脂肪酸 / ホスファチジルコリン / 可動性 |
Research Abstract |
ビタミンEは,種々の生体膜中に存在し,その抗酸化力により膜の安定化に寄与していると考えられている.しかし,最近の研究ではビタミンEが機械的に膜の強度を強めて,安定化に寄与しているという考えも提案されている.一方,フッ素は水素についで小さな原子であり,分子中の水素をフッ素で置換してもあまりその形状は変化せず,元の分子同様に取り込まれるのでフッ素をプローブとして用いる研究がいろいろ行われている.研究代表者らはフッ素のこの性質に着目し,フッ素置換トコフェロールを種々合成し,これを生体膜モデルであるリポソームに加えた場合のNMRにおける緩和時間の変化から,ビタミンEの膜中での配向性と可動性などを明らかにし,すでに報告している.本研究ではフッ素を含む脂肪酸を種々合成し,これをリポソームに加えて,^<19>F-NMRにおける緩和時間の検討から,膜の流動性についての知見を得た.さらにこのような膜にビタミンEを加えた場合の緩和時間の検討から,ビタミンEが膜の可動性を下げ,機械的に安定化している可能性を強く示唆する結果を得た.さらに,詳細な検討を行うために,含フッ素ホスファチジルコリンの合成に着手し,18位にフッ素を持つものの合成に成功し,その他の位置のものについても合成を鋭意検討中である. これらの結果の一部については日本薬学会120年会で発表の予定であり,また投稿準備中である.
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[Publications] C.Gu,I.Kumadaki 他3名: "Dissociative and Reactive Hyperthermal Ion.Surface Collisions with Langmuir Blodgett Films Terminated by CF_3(CH_2)_n-,Perfluoroalkyl and Alkyl Groups"J. Am. Chem. Soc. 120. 10554-10562 (1999)